過去ログ(No.111〜120)
  
引っかかった・・・ 投稿者:日向@帰り前
 
字数制限に。
 
(Bパート)
新しく現れた景色はかつて、見た事のある場所だった。
薄暗い、巨大な格納庫。
隅に置かれたコンテナとドラム缶。
固体さん「・・・!ここは!」
ギリアン「どうした、スネーク?」
ヒトダマ「ああ〜っ!!」
ヒトダマも何かに気がついたか、思わず声をあげる。
ヒトダマ「メタルギア「REX」格納庫?!」
固体さん「・・・ああ、」
苦々しげに呟く固体さん。
かつて、この場所で起こった苦々しい記憶がよみがえる。
NPC《そうだよ!あんたたちの墓場にもってこいの場所だよ!》
高らかに響くNPCの声。
そして、
空間を揺らし重々しい地響きと共に現れたのは・・・紛れもなく、数年前破壊したはずのメタルギア「REX」。
固体さん「俺が一度破壊した物は2度、破壊できんと思ってのことか?答えろ!」
NPC《REXの弱点はレドーム、それを破壊してコクピットを開けば攻略できる・・・ね。でも今回も同じ手が通用すると思う?》
踏み潰されるしかあんたたちに残された選択肢はないんだよ、と勝ち誇ったようにNPCが叫ぶ。
NPC《あんたは誰も守る事ができないんだよ!自分の身さえもね!》
咆哮をあげ、機銃を固体さんたちにむけるREX。
固体さんもスティンガーを取り出し、構える・・・が。
固体さん「・・・くそっ!」
そういえばスティンガーの弾は一発も拾っていない。
REXの機銃が火を吹いて固体さんたちに襲いかかる。
咄嗟に固体さんたちはコンテナの影に走りこんだ。
その真後ろを機銃の弾が通り過ぎていく。
ギリアン「か、間一髪・・・」
固体さん「まさかこうなるとはな」
そういえばどのフロアにもスティンガーの弾は落ちていなかった。
と、いうことはNPCはこうなることを見透かしていたというのか。
固体さん「・・・どうする」
・・・と。
突然、固体さんの無線機が受信を告げた。
周波数は141.12・・・をたこんである。
固体さん「をたこん!」
をたこん《やあ、スネーク!遅くなってゴメン!》
相変わらずのんきそうな声が響く。
をたこん《今日のWFは君が出るって言うから観てたのに大変な事になってるね〜》
固体さん「大変なことどころじゃないぞ!」
今はコンテナが自分の身を守ってくれているがそれもいつまでもつか分からない。
固体さん「をたこん、ここのシステムを破壊することはできないのか?」
をたこん《もうやってるよ》
固体さん「?」
説明しろ、という固体さんにをたこんが実は・・・と切り出す。
をたこん《君がアーセナルステージ、つまりそのVRシステムに入った直後に僕宛にメールが来たんだ》
固体さん「それで?」
をたこん《自分が作ったアーセナルのVRを作り出すG.Wのシステムは危険な物だから添付したウィルスで破壊してくれって》
固体さん「それでそのウィルスを送り込んだわけか」
ということは、と固体さんが考える。
固体さん(ここのナビシステムの暴走の原因は・・・)
をたこん《そうなんだけど》
言葉を濁すをたこん。
をたこん《少し気になる事があってね》
固体さん「どうした?」
をたこん《僕には妹がいる・・・血はつながってないんだけどね。エマって名前で、僕はEEと呼んでいた》
固体さん「お前の妹の話を聞いてるヒマはないぞ」
をたこん《分かってる。でも、さっきのメールに話は戻るんだけどEEって署名があったんだ》
固体さん「お前の妹が、G.Wのシステムを作り上げたと?」
をたこん《それは分からない。で、僕はウィルスをG.Wに送ったんだけどなんかおかしいんだ。 転送は90%で止まってしまった上にウィルス自体がシステムに取り込まれたらしいんだ》
固体さん「・・・なに?!」
驚く固体さん。無理もないが、話があまりにも突拍子なさ過ぎる。
ギリアン「ということはあのNPCは・・・」
プチ「システムがウィルスを取り込んで暴走した、ということになりますね」
をたこん《たぶん、そういうこと。でもEEがそんなミスをするはずがないからもしかすると、どこかで誰かに改ざんされたのかもしれない。 だから解析してみたんだ、EEが送ってくれたウィルスを》

続くで〜

ラストっ! 投稿者:日向@帰り前
 
腑に落ちないというをたこんの声に、固体さんも首をかしげる。
をたこん《解析した結果なんだけど、EEが送ってくれたウィルスはどうやら何らかのAIをベースに作られた物らしいんだ。しかもかなり高度なAIで、自我を持っているに等しいものを。で、そのAIなんだけど・・・どうやら名前があるらしいんだ。NATって・・・》
ヒトダマ「NAT?」
反応したのはヒトダマ。
固体さんが、ヒトダマを見る。
固体さん「知っているのか?」
ヒトダマ「・・・いや、まさかそんなことないです〜。確かに知ってる人でそう名乗ってる人いるけどあ
の人AIじゃないし〜」
をたこん《そもそもNATって「Network Address Translation」の略だけどね。
それで、EEはベースとなったAIと区別する為にウィルスに は「NAT-EE」って名前を付けていた》
固体さん「じゃあ、その「NAT-EE」を破壊する方法は?」
をたこん《送り込んだウィルスがああなった以上、僕にはもう何もする事ができない》
ギリアン「ということは自分たちでなんとかしろってことか?」
スティンガーの弾もない、「同じ手が通用すると思う?」ということはおそらくレドームを破壊することは不可能。
このままむざむざやられるしかないのか。
NPC(NAT-EE)《そういうことだよ!》
誰にも俺を殺すことはできない、と続けるNPC・・・こと「NAT-EE」。
固体さん「・・・くそっ!」
REXを見上げながら固体さんが悔しそうに歯軋りする。
固体さん「このままやられるしかないのか?」
そう呟いた固体さんの耳に、二つの声が重なる。
をたこん&??《諦めるのはまだ早いよ、スネーク》
固体さん「をたこん?」
をたこん《実を言うと、僕がウィルスを送り込んだあとで、もう一つ何か侵入していったものがあったんだ》
固体さん「もう一つ?」
をたこん《うん。それも・・・オリジナルの「NAT」がね。》
固体さん「オリジナルだと?」
をたこん《ウィルスの方はシステムに取り込まれたけれど、オリジナルはまだ持ちこたえてる。僕もフォローに回ってるからもうすぐ合流 できるかもしれない。それまで持ちこたえて!》
同時に、轟音と共に粉々になるコンテナ。
見上げるとREXが今にも自分たちを踏みつぶそうと片足を持ち上げている。
固体さん「くそ・・・弾さえあれば・・・」
??「弾ならあるよ!」
不意に上空から投げかけられる声。
同時に、どすんという音と共にスティンガーの弾がつまったケースが落ちてくる。
NAT-EE《その声・・・まさか!》
一度足を上げたREXが、そのまま後ろに一歩下がる。
固体さん「今だっ!」
NAT-EE《させるか!》
ケースに向かって走り出した固体さんめがけ、REXのミサイルポッドから数発のミサイルが射出される。
ギリアン「スネーク!」
ヒトダマ「固体さぁん!」
ギリアンとヒトダマが同時に叫ぶ。
ほんの数メートル、固体さんは間に合わない・・・!
炸裂するミサイル。
轟音と共に、あたりに立ちこめる土ぼこり。
ギリアン「・・・スネーク!!」
いくらスネークでもミサイルの直撃を受けて無事なわけがない。
少しずつ、煙と土ぼこりが薄れていく。
その中で、ばちっと閃く数条のプラズマ。
ギリアン「・・・?!」
ギリアンは自分の目を疑った。
煙の中から浮かび上がる、人影。
それも二つ。
ヒトダマ「・・・固体さぁん!!」
片方が固体さんだと気づき、ヒトダマが先に声をあげる。
固体さん「俺は大丈夫だ」
薄れる煙の中から、スティンガーを手にした固体さんがギリアンを見てうなづいてみせる。
その固体さんの前で、REXに立ちふさがるかのように両手を広げて立つ人影。
その顔を見た瞬間、3人は同時に声をあげた。
3人「・・・なっ!」
先ほど、自分たちの前に現れたNAT-EEと寸分たがわぬ顔立ち。
だが、彼のような禍々しさも、傲慢さも感じられない。
固体さん「・・・まさか・・・お前が、」
両手を降ろし、振り返って固体さんを見るその人物。
小さくうなづいてにっと笑んでみせる。
??「・・・待たせたね」
をたこん&固体さん「・・・オリジナル・・・」
??(オリジナルだと長いので「NAT」)「今はそんなこと話してる場合じゃない。ここは俺が食い止める、だからスネークたちは早く脱出 を」
それに、もともとは俺が撒いた種とも言えるしねと自嘲気味に笑い、彼は再びREXを見上げた。
 
次回「光と闇の再会」
クライマックス〜ってか結局黒幕誰やってん。EEヴァージョンか、オリジナルか、それともEE本人か、G.Wそのものか・・・
それ以前の問題にEEヴァージョンラスボスやん・・・すいません。

いやな予感 投稿者:天麒麟@…ねむ
 
後半、随分重い展開になってきましたWF編(また長くなるのかにゃ…)。
 
(Aパート前半…かも)
固体さん「……勝算はあるのか?」
NAT「通常の状態ならオリジナルである俺の方が力は上なんだけどね……あいつ、このシステムに結構深く食い込んでるから……正直、五分五分ってとこかな」
でも、とNATは言って顔をきっとあげた。決意に満ちた表情で。
NAT「俺はこのために来たんだ。あいつを完全に消去するために」
固体さん「そうか……わかった」
静かに頷く固体さん。その額にはいつしか無限バンダナが巻かれている。
固体さん「加勢しよう」
NAT「!」
固体さん「確かにあんたにとっちゃケジメかもしれんが、これはもともと俺達に売りつけられた喧嘩だ。それに、ヒトダマじゃないが……」
スティンガーの照準を、REXのレドームに合わせる。
固体さん「俺もあいつが気に食わん」
NAT「……裸いでんはどうするんだい?」
「裸いでんのことなら」
と声をかけたのはギリアンである。
ギリアン「俺達で探す。スネーク、心おきなく戦ってくれ」
プチ「任せてください!」
固体さん「……そういうことだ」
にやり、と渋い笑みを見せる固体さん。NATもつられて表情を綻ばせた。
ヒトダマ「あ、あの〜、私はどうすれば」
間でヒトダマがちょっとおろおろしている。
固体さん「ギリアンと一緒に行け。裸いでんを見つけたら真贋を見極めてもらわねばならん」
ヒトダマ「は、はい、わかりましたぁ! ……あ、そだ」
ひょろひょろとNATに近づき、なにやら手渡してごしょごしょ耳打ち。
NAT(ちょっと困惑して)「……俺に使えるかな」
ヒトダマ「あなたならね、多分大丈夫ですよ〜」
がんばってね、と力づけるようにNATの腕をぽんぽんと叩く。
ギリアン「裸いでんを見つけたら連絡を入れる! スネーク、俺達の分までそいつをボコっといてくれ!」
固体さん「ああ、頼む!!」
ギリアン「ヒトダマ、置いて行くぞ!!」
ヒトダマ「あ、ああ〜〜、待ってくださ〜〜〜い! それからそれ、お貸しするだけですから後でちゃんと返してくださいね〜〜!」
きびすを返して走り出すギリアンを追って、ヒトダマが慌ててすっ飛んで行く。
NAT-EE《! 逃がすか!!》
REXの機銃の先端が走り去る二人(?)を追い、発砲する。
が。
銃弾はすべて閃く銀光に弾き落とされてしまう。
弾いたのは素早く間合いに飛び込んだNAT。そしてその手に携えているのは……なんと魔剣アラストルだ。
NAT「……彼らに手出しはさせないよ」
固体さん「お前の相手は俺達だ」
NAT-EE《おのれ……おのれぇぇぇぇっ!》
怒りが頂点に達した様子のNAT-EE。神というよりもはやただの駄々っ子のようだ。
NAT-EE《もう絶対に許さないからな!! みんな、みんな潰してやる!!!》
ヒステリックな絶叫が、戦闘開始の合図となった……。
 
続くよ〜ん。

さーてと 投稿者:天麒麟@うひぃ
 
何処まで書ける(受け付けて貰える)かな……。
 
先制攻撃は固体さんだった。スティンガーの照準をレドームに合わせ、トリガーを引く。
発射されたミサイルがやや弧を描くようにREXに迫った。
NAT-EE《……そんなもの!》
空間をねじ曲げ、軌道を反転させようとする。だが、その意に逆らって、ミサイルはレドームに突き刺さった。
爆発と共に、レドームのカバーが歪む。
NAT「俺が何者か忘れたのか? あんた程じゃないが、俺もここの空間に干渉できるんだよ」
NATのバックアップを受けて続けざまに固体さんがミサイルを撃ち込む。
と、攻撃の手を緩めることなく唐突に固体さんが口を開いた。
固体さん「……あんた、相打ち覚悟でヤツに突っ込むつもりだったな?」
NAT「………」
固体さん「俺がここに留まったのにはもう一つ理由がある。以前、同じ様なシチュエーションで俺は、親友を失った。……あいつが潰されるのを、俺は手を拱いて見ていることしかできなかったんだ」
ついにレドームが破壊され、REXのコックピットが開く。だがそれより早く、機銃の銃口が彼らを捉えた。
咄嗟に、アラストルを構えたNATが疾走する。
NAT「おおおおっっ!」
跳躍と共に振り下ろされた刀身が銃身に食い込み、そして一気に切断する!
すかさず固体さんがコックピットにロックオン、そしてミサイルが放たれる。
固体さん「……もうあんな惨めな思いはしたくない」
咆哮とも苦鳴ともつかない声をあげて、REXが完全に機動を停止した。
 
一方こちらは裸いでんを探すべくREX格納庫から飛び出したギリアン&プチそしてヒトダマ。
ギリアン「プチ、裸いでんのいそうな場所をスキャンできるか?」
プチ「はい。先程から全センサーが復帰しました。現在走査中です」
とうやらNATが空間干渉をおさえてくれたおかげのようだ。何故か空間の捻れやワームホールも消えているようで、無機質な廊下が続いているだけである。
ギリアン「ヒトダマ、ここの構造がどうなっているか知っているか?」
ヒトダマ「わかんないですぅ。でも、空間の捻れもなくなったみたいだし、多分この近辺にいると思うですけど……」
プチ「! 動体反応あり! 何かいます!」
ギリアン「裸いでんか?」
プチ「いえ……複数です! こちらに近付いてきます!」
かしゃ……かしゃ……。
何となく何処かで聞いたことのある足音だなとギリアンが不安に駆られたその瞬間。
廊下の角から現れたのはなんとスナッチャー(エンドースケルトン)ご一行さま!
ヒトダマ「しぇぇぇっっ、た、たくさんいるぅぅ〜〜!」
ギリアン「……どうせタダでは通してくれないだろうとは思っていたが……」
手っ取り早く行くぞ、と、ミッドナイト・エクスプレスを取り出して構える。
ギリアン「腰抜かしてる場合じゃないぞ。スナッチャーの弱点は知っているな?」
ヒトダマ「ひ、額のスリット部分でしたよね(汗)。……うう、上手く当たるかなあ??」
情けない声で、M4を構えるヒトダマ。
じりっ、と詰め寄ってくるスナッチャーたち。
ギリアン「……行くぞ!」
ミッドナイト・エクスプレスから放たれるエネルギー弾が、数体をまとめて始末した。
ヒトダマもまたギリアンにならい、M4の照準を合わせて引き金を引く。
……かち。
ヒトダマ「……あら」
ギリアン「どうした?!」
ヒトダマ「……弾切れですぅ〜〜(涙)」
ギリアン「なに〜〜〜っっ!?」
突然のハプニングに慌てるギリアン。その間にもスナッチャーは迫ってくる。
ギリアン「仕方ない! お前は下がっていろ!」
M・EX(長いので略)を一番手近のスナッチャーに向ける。だがその脇にいた別のスナッチャーの口腔内が不気味に光り出した。
(カノン砲!)
間に合わない、やられる! とギリアンが観念したその瞬間。
ヒトダマ「イグニートジャベリン!」
虚空から出現した巨大な光の槍がスナッチャーを直撃、粉砕する。
ギリアン「お前……今の……」
魔法……?
ヒトダマ「あ、あははは、ちこっとだけMP復活してましたーー」
ギリアン&プチ「そういうものはさっさと使え〜〜!!」
ヒトダマ「すいませ〜〜ん、ホントに気が付かなかったんですぅぅ〜〜!」
どうやらこのヒトダマといると、シリアスな展開がぶち壊しになるらしい……。
 
続くかどうかは未定(おい)

サブタイいいの思い浮かばん 投稿者:日向@とほほ
 
またクレームが出そうなんですが・・・
「神の光」
 
コクピットにスティンガーの直撃を受け、完全に停止したREX。
固体さん「・・・やったか?!」
NAT「いや・・・あの程度で消滅するほど奴もヤワじゃないし・・・」
それに消滅したはずなら同時にシステムも崩壊するはず、とNATがREXの残骸を見上げながら呟く。
NAT「・・・逃げた・・・?」
気配を読み取れず、少々困惑したようなNATの顔。
もし、NAT-EEが逃げたとすれば彼が向かう先は容易に予想がつく。
NAT「・・・まさか?!」
固体さん「ギリアンとヒトダマ?!」
NATにバックアップされた固体さんと戦うのが不利だと言うのなら、バックアップされていない方を狙うのが確かに妥当な線である。
確かにNATもフロア全体に干渉して空間の歪みやワームホールを除去してはいるが・・・
たとえそれが除去できたとしてもNAT-EEが自分たちを完全に無視して攻撃すれば、ギリアンたちの身が危ない。
NAT「早く合流しないと!」
アラストルを手に、NATが格納庫の出口に向かって走り出す。
その時。
ばちっという音と共にNATの全身をプラズマが走った。
NAT「ぐ・・・っ!」
苦痛に顔を歪め、たまらずその場に膝をつくNAT。
固体さん「・・・おい!!」
NAT-EE《さすがのオリジナルも、システムの侵食は完全に止められない、ってわけか》
どこかでNAT−EEの声が響く。
NAT-EE《苦しい?苦しいだろうねぇ。抵抗せずに侵食されればいいものを、抵抗する上にそのシステムの一部を無理やり自分の活動源にしていればダメージも大きいはず。そこまでして俺を止めたい?それが自己犠牲の自己満足ってヤツだよ》
嘲るようなNAT-EEの声。
NAT-EE《それだけダメージを受けていればたとえ俺を消去できたとしても無傷では済まないね。いずれにせよ、俺が消滅すればあんたも消滅する事になるね》
固体さん「・・・な、」
そう言いつつ、ゆらりと姿を現すNAT-EE。
さすがにREXを破壊されたダメージが大きいのか、少々苦しそうな様子ではあるのだが。
NAT-EE「完全に侵食されるのも時間の問題だから放っておいてもいいんだけど、それまでに何かしら手を打たれると少々厄介だからね・・・先にあんたたちを消してやる」
NAT「・・・黙れ」
胸の辺りを押さえながら、NATが立ち上がり目の前のコピーを睨み付ける。
NAT「コピーごときが・・・神を名乗るんじゃない」
次の瞬間、鋭い光と共にNATが後ろに吹き飛ばされた。
(Aパート終了)

燃え尽きてまふ・・・ 投稿者:日向@とほほ
 
(Bパートでふ)
 
固体さん「NAT!!」
背中からまともに壁に叩きつけられ、その場にくずおれるNAT。
だが、意識は手放していなかったか苦しげにうめきながらもすぐに体を起こす。
固体さん「・・・大丈夫か?!」
NAT「・・・ああ、」
心配しなくてもいい、と低く答えるものの受けたダメージはかなりのものだったらしい。
アラストルを床に突き立て、それにすがるようにして立ち上がる。
NAT-EE「コピーごときが・・・ね。そのコピーにやられる気分はどう?ここのシステムは最高だよ。一度誰かが使った能力をそのままコピーして使うことができる」
固体さん「・・・ということはまさか・・・」
ふと、脳裏をよぎるNAT登場の瞬間。
あのとき、REXから放たれたミサイルに自分は確かにやられたと思っていた。
だが、その直前に現れた光の壁により、直撃は免れたのだ。
あれは恐らく、防御に使うシールドのようなもの。
だがそれを至近距離で使えば・・・
NAT「・・・油断したよ。コピーであるはずのあんたがまさかシールドをコピーするとは思ってなかった・・・」
NAT-EE「そういうことだよ。あんたが「力」を使えば使うほど、俺の方が強くなっていく」
固体さん「だが、それでも俺たちは負ける訳にはいかん」
NATを庇うように立ち、固体さんがNAT-EEを睨む。
固体さん「・・・(奴を消せばお前も消えると言うのは)本当か?」
NAT「・・・」
沈黙するNAT。
その沈黙が、事実である事を語っている。
代わりに口を開いたのはNAT-EE。
NAT-EE「こいつが動力源にしているのはある意味俺自身みたいなものだからね。もっとも、俺を消す直前に離れれば助かるかもしれないけどそれだけ侵食されてれば離れることすらできないね」
NAT「・・・」
固体さんの後ろで、NATが悔しそうに呻くのが聞こえる。
NAT「でも、だからといって諦めるわけにはいかないし、消えたくないからとあんたを見逃すわけにもいかない」
立っているのも辛いのだろう、かなりおぼつかない足取りでNATは固体さんの前に出た。
固体さん「おい!」
止めようとする固体さんの前に、ぐい、と何かが突き出される。
NAT「・・・ヒトダマに返して」
固体さんの前に突き出されたのは魔剣アラストル。
固体さん「そういうものは自分で返せ」
アラストルは受け取らず、かわりにスティンガーを構え、前に出る固体さん。
固体さん「後は任せろ。お前はシステムから離脱する事だけを考えろ」
だが、NATはゆっくりと首を振った。
NAT「シールドをコピーされたという事は、実弾攻撃は一切効かない。そうなると、唯一通じるエネルギー攻撃で、コピーされる前にあいつを消滅させるしかない」
固体さん「だが、」
そうすれば確実にNATがシステムから離脱することは不可能。
固体さん「心中する気か?」
NAT「不本意な結果だけどね」
次の瞬間、辺りをまばゆい光が包み込んだ。
先ほどのヒトダマの呪文の時よりもはるかに強い光がNAT-EEに向けて放たれる。
NAT-EE「まさかっ・・・!!「神の光」?!」
その攻撃は「マスター」しか使うことができないはず、と続けてから彼はまさか、と呟いた。
NAT-EE「まさか・・・あんたが、「マスター」・・・?」
NAT「いや、俺もしがないコピーだよ・・・あんたよりは上位の「オリジナル」だけどね」
光の中で、NATが手を伸ばしてくる。
NAT「だからこれは「神の光」じゃない・・・」
現れた時と同じように唐突に、光が消えた。
そこにいたはずのNATとNAT-EEも共に。
カラン、と乾いた音を立てて、魔剣アラストルが固体さんの足元に落ちた。
 
光が消えたのと同時刻。
アーセナルの頭脳とも言えるスパコンからも光が消えた。
 
次回「裸いでんを救出せよ!」
ただし、脱出できる保証はないそうです。
・・・しかし。NATはん、出番良すぎだべ。
でも、これでも結構削ったんだべ・・・

いやん 投稿者:天麒麟@げげっ  投稿日: 1月24日(土)14時59分4秒 
 
修正してからと思うたのに投稿してまいました…(パケ代増やしたすまぬ)。
 
(Aパート)
固体さんは、冷たく光る刀身にそっと歩み寄ると、それを拾い上げた。
固体さん「……自分で返せと言っただろう……」
結局俺はまた……。
悔しさとも憤りともつかないモノが胸の奥からこみ上げる。しかし、それを奥歯で噛み殺すと固体さんは右耳の下に指を当てた。
 
さてこちらはギリアンサイド。
群がるスナッチャーを蹴散らし、乗り越え(以前同じ様な表現を何処かで使った憶えが)、彼らはようやくとある扉にたどり着いた。
ギリアン「……なんだこの扉は」
扉の表面には殴り書きで「HAL’S LABO」の表記が。
プチ「ハルって確か、スネークの相棒……でしたよねえ」
ギリアン「ああ。会ったことはないが……まさかここに?」
ヒトダマ「それはないと思いますぅ……をたこんさん、外部から固体さんと通話してましたからぁ〜〜」
呪文の連打でまたもMP切れを起こしたヒトダマは、しゃべるのも辛そうだ。
ヒトダマ「ここはメタルギアを隠していたシャドーモセスの施設内を再現してるだけと思いますぅ〜〜……ほにゃあぁぁ」
へろへろへろ〜と墜落しかけるヒトダマの頭を、ギリアンが鷲掴みにする。
ギリアン「おいしっかりしろよ」
ヒトダマ「う〜〜ん……尻尾よりはましだけど、こういう持ち方もなあ……」
ギリアン「じゃあどう持てと言うんだ」
ヒトダマ「こう、やさしーく抱きかかえてくれたりするととっても嬉しいかなーと……」
ギリアン「……捨てていっていいか?」
ヒトダマ「ああん冗談ですぅ捨てないでぇぇ(泣)」
プチ「……見ていて飽きないですねぇ(呆)」
などとトリオ漫才を繰り広げながら(結構余裕あるなこいつら…)、それでも慎重に扉を開ける。
だが、扉の先にはまた廊下だ。
プチ「動体反応はありません」
ギリアン「突然出現するかもしれん。気をつけろ」
片手にヒトダマ、片手にブラスターという出で立ちで周囲を伺いつつも歩を進めるギリアン。ぶら下げられたヒトダマは、何故かあー、こういうのもいいかもーとか呟いている。
で。
結局敵らしいものは出現することなく、無事に廊下の突き当たりに出てしまった。
ギリアン「……また扉だな」
プチ「多分ここがラボなのでしょう。……ギリアン、動体反応です! 中に誰かいます!」
ギリアン「敵か?!」
プチ「わかりません。ですが反応は1体だけです」
ヒトダマ「裸いでんくんじゃないですかぁ?」
ギリアン「かもしれんが……」
ブラスターのエネルギー残量をチェックし、臨戦態勢を整える。
自動ドアが開いた。
ラボ(研究室)の名に相応しく室内には数台の端末が設置されており、モニターが淡い光を放っている。
そしてその一番奥に小さな人影が見えた。
薄い照明の中で、煙るように輝く見事なプラチナブロンド。
ギリアン「……裸いでん?」
人影は一台の端末に向かい、無心でキーボードを叩いていた。
ギリアン「ヒトダマ……あれは本物か?」
ブースを仕切る衝立の陰からそっと伺いながら、ぶら下げたヒトダマに問いかける。
ヒトダマ「えーっと……フェイクではないですねー。霊気感じますから」
ギリアンは一つ大きく息を吐くと、ブラスターをしまい込んだ。
プチ「取り敢えず一安心ですかね」
ギリアン「気はぬけんがな……おい、裸いでん!」
ヒトダマ「……ほへ?」
なんでいきなり呼び捨てなの?とヒトダマが首を傾げた途端、人影が振り返った。
 
Gサイド書くのはたのすぃです(^_^)
Bパートはちっとまっとってね。

伏線 投稿者:天麒麟@あう。
 
張ったのに、ケリつけてないぞ。
 
(Bパート 再びSサイドへ)
固体さんが通信機を起動させようとしたその途端、コール音が鳴った。
ギリアンからの通信だ。
ギリアン《スネーク、聞こえるか?》
固体さん「ああ、聞こえる。どうした何かあったのか」
ギリアン《喜べ。裸いでんを保護したぞ。……おい、あまり乱暴するんじゃない》
固体さん「……?」
ギリアンの声の向こうが何やら騒がしい。はしゃぎ声のような悲鳴のような……固体さんは首を傾げた。
固体さん「おい、何がどうなって」
ギリアン《あ、いやなんでもないんだ。今裸いでんに代わる》
裸いでん《固体おじちゃん!!!!》
固体さん「のああぁぁぁっっ!?」
耳小骨が砕けるかと思うくらいの大音量に、思わず固体さんは仰け反った。
固体さん「……ら、裸いでん……フツーに喋ってくれ……聞こえてるから……」
裸いでん(声量を落として)《おじちゃん、今どこにいるの? 早く迎えに来てよ》
怪我などはないらしい。元気いっぱいの声だ。
ほっとしつつ、固体さんはその声に被さるように聞こえるいやー、裸いでんくん尻尾掴まないで放してーというお馴染みの悲鳴に、つい額を押さえてしまう。
固体さん「……もしかして、ヒトダマか?」
無線の向こうで裸いでんに遊ばれてるらしい。
ギリアン《……血は争えんな》
固体さん「血は繋がってないんだが」
確かに掴みやすい尻尾なんだよな、と一番の加害者は心の中で呟いた。
 
ヒトダマ「はー、そうですかー……残念ですぅ」
プチに誘導してもらってギリアンたちと合流した固体さんからアラストルを返して貰いながら、ヒトダマは溜息を吐いた。
尻尾がちょっとよれよれになっているところを見ると、相当の勢いで裸いでんに遊ばれていたようだ。
ギリアン「自分の身を挺して……か。辛いな」
ギリアンもまた、似たような経験をしている。これ以上の言葉は必要なかった。
それほどまでに遺された者の傷は深い。だが、その傷を乗り越えてこそ新たな道が開けるのだということも、彼らは良く知っていた。
固体さん「取り敢えず、これで余計な妨害が入る心配はないだろう。ところで裸いでん、お前ずっとここで何してた?」
裸いでん「うん。ずっとゲームしてた。アレだよ」
固体さん「ゲーム?」
裸いでんが指さしたのは、ギリアンに発見されるまで向かっていた端末だった。
裸いでん「あのね、発売前の新作なんだって。3Dでダンジョン内に迷路作って、トラップ仕掛けたりするの」
プチ「成る程、一種のRPGツールですね」
ギリアン「それとVR空間を連動させていたわけか……」
裸いでんは、自分ではそれと知らずに叔父達を迷宮に追いつめていたのである。
固体さん「トリックは解けた。裸いでんも確保した。後は出口を探すだけなんだが」
ヒトダマ「変ですねぇ……本来ならちゃんと手掛かりなりなんなり表示される筈なのに…………げ」
何気なく端末のモニターを覗き込んだヒトダマが固まる。
ヒトダマ「ら、裸いでんくん、この表示、いつから出てるの?」
裸いでん「ギリアンおじちゃん達が来るちょっと前からだよ。何押しても変わらないし、おかしいなーって」
固体さん「どうした?」
ヒトダマ(僅かに震えながら)「こ、これ……」
モニターに表示されていたのは……システムエラーの警告メッセージだった。
固体さん「NATの攻撃の余波で、システムがシャットダウンされたんだろう。それがどうかしたのか」
ヒトダマ「あ、あの〜〜、私ここに雇われる際にですね、この警告が出たら何が何でも退避しろって言われたんですけどぉぉ」
固体さん&ギリアン「なんだって!?」
ヒトダマ「データをデフォルトするのに巻き込まれて、永遠にこの空間を彷徨うことになるからって……」
ヒトダマの言葉に、戦慄が一同の間を駆け抜けていった……。
 
何とか裸いでん奪還には成功。けど逃げられるのかご一行!
次回は「太陽とともに!」 ……いや何となくね。

「太陽と共に」 投稿者:日向@ううむ・・・
 
そういえば、TTSのプロモラスト付近とかぶりましたな<アラストルが落ちるシーン
 
固体さん「ヒトダマ、デフォルトがかかるまでの時間は?」
険しい面持ちで、固体さんがヒトダマに尋ねる。
ヒトダマ「ほにゃぁ・・・確か復旧プログラムの都合で20分だと聞いた記憶が・・・」
その答えを聞き、固体さんはすばやく頭の中で逆算してみる。
ギリアンから連絡がかかったのが5分前、エラーが出たのがギリアンと合流する数分前と考えると・・・
固体さん「あと10分、ってとこか」
ギリアン「何?!」
時間が無い。
あったとしても、出口が分からない。
固体さん「ヒトダマ、緊急時の脱出口などは?!」
ヒトダマ「ええ〜〜〜そんなの、私が管轄してたフロアしか聞いてないです〜〜〜」
ギリアン「と、すると・・・プチ、ここのマップはDLできたか?」
先ほどから端末に接触していたプチができています、と答えてくる。
プチ「位置も確認できました。しかし、急がないと」
固体さん「分かった、急ごう!」
ギリアン「ほら、裸いでん、行くぞ!」
裸いでん「うん!」
こうして、一同はラボを飛び出した。
 
徐々に無機質な壁へと変貌を遂げていくシャドーモセスの幻影。
そこを駆け抜けながら、固体さんは悔しそうに歯軋りした。
結局、繰り返すしかなかったのかと固体さんは誰にも聞かれないように呟いたそのとき。
固体さんたちの目の前で数条のプラズマが舞った。
プラズマを中心に、煙ともあのキリエが纏っていた怨霊ともつかないものが湧き出してくる。
ギリアン「な、なんだ?!」
ヒトダマ「ほにゃぁぁぁぁ!!!!」
ギリアンとヒトダマが同時に叫ぶ。
固体さんもすかさずソーコムを抜き、煙に向かって発砲した。
が。
固体さん「・・・のわっ!」
咄嗟に身をひねる固体さん。
同時に、跳ね返ってきた銃弾に手にしていたソーコムを撃ち落されてしまう。
NAT-EE《まだだ・・・まだだよ、スネーク!》
煙の中から姿を現したのは満身創痍のNAT-EE。
NAT-EE《俺が・・・俺が負けるわけがない!スネーク!こうなればあんたも道連れにしてやる!!!!》
固体さん「NATは・・・オリジナルは!」
NAT-EE《愚かなものだよ、自分の全データと引き換えに俺を消去しようとするなんて。所詮は「マスタ
ー」からコピーされた「オリジナル」、フェイクの「神の光」ぐらいで俺が消滅すると思ってたんだね》
固体さん「・・・くっ・・・貴様!!」
弾が跳ね返ってきたということは実弾攻撃は通用しない。
あの時NATは「エネルギー攻撃なら通用する」と言っていたがシールドをコピーされている以上、あの
攻撃はエネルギー攻撃ではなく恐らくAIを構成しているデータそのものを攻撃したデータ攻撃。
と、なると今の自分たちでは太刀打ちできない!
・・・だが。
固体さん「・・・指名は俺だけか」
先ほどまでと打って変わって静かな声で固体さんがそう言った。
NAT-EE《そうだよ!本来のアーセナルの目的はスネーク、あんた一人だからね!》
固体さん「・・・そうか、分かった」
決意に満ちた表情で頷き、固体さんがヒトダマを、そしてギリアンを見た。
固体さん「裸いでんを頼む」
ヒトダマ「固体さん〜!!時間が、時間がないんですよ〜〜!!こんなの無視して、何とか逃げ切れば、」
ギリアン「そうだスネーク!多少のダメージは喰らったとしてもこの距離なら何とか逃げ切れる!」
だが、二人の説得にも固体さんはいやと首を振る。
固体さん「これが俺の、シャドーモセスの記憶をトレースしたものだというのなら・・・これ以上、あの
記憶を繰り返したくない。それに・・・あいつが成せなかった遺志を継ぐ権利ぐらいあるはずだ」
そう言い、目の前のNAT-EEをきっと睨み付ける。
固体さん「大丈夫だ、必ず後で追いつく」
ギリアン「・・・これ以上言っても聞かないな、」
仕方ない、必ず合流しろよとギリアンが頷いた。
ギリアン「裸いでんだっているんだ、お前が死ぬと悲しむ人間もいるんだ、だから必ず合流しろ」
固体さん「・・・ああ、分かってる」
だからさっさと行け、と固体さんが3人を急かす。
ギリアン「行くぞ!裸いでん、ヒトダマ!」
ここで分かれるのは辛いが、ギリアンは走り出した。
心配そうにヒトダマもギリアンの後を追いかける・・・と。
ヒトダマ「・・・そうだ、これ、使ってください!」
突然、ふらふらと固体さんの元に戻り、ヒトダマは先ほど返してもらったアラストルを突き出した。
固体さん「だから刃物は趣味じゃないと」
ヒトダマ「でも、持ってて損はないと思いますよ〜〜」
それじゃ、ご武運を、とヒトダマが何度も振り返りながらギリアンの後を追いかけていく。
ぎりっとアラストルの柄を強く握り締め、固体さんは改めてNAT-EEを見た。
固体さん「NATの仇は俺がとる。・・・来い!」
次の瞬間、固体さんのアラストルと、NAT-EEのシールドがぶつかって火花を散らした。
(Aパート終了)

字数制限との戦い・・・ 投稿者:日向@ううむ・・・ 
 
(Bパート)
固体さん「・・・ぐっ!」
至近距離で展開されたシールドに、固体さんが低くうめき声をもらす。
ヒトダマからアラストルを受け取っていなければ恐らく弾き飛ばされ、大ダメージを受けていたはず。
まさかいきなりアラストルが役に立つとは、と皮肉な笑みを浮かべ、固体さんが後ろに跳んだ。
その着地点を狙ってNAT-EEの攻撃が飛んでくる。
それを人間業とは思えないバック転で回避し、固体さんはNAT-EEに向かってダッシュした。
固体さん「これで終わりだぁっ!!」
だが、それもNAT-EEを切り裂くことなく直前でシールドに阻まれてしまう。
その、固体さんの眼前に迫るNAT-EEの禍々しい笑顔。
NAT-EE《遅いよ、スネーク!》
固体さん「ぐあっ!!」
アラストルでも防ぎきれない、零距離で展開されたシールド。
その直撃を受け、固体さんが弾き飛ばされた。
がっしりとした固体さんの体が宙に舞い上がり、床に叩きつけられる。
固体さん「ぐ・・・」
うめきながらも体を起こす固体さん。
が、そのとき固体さんはあることに気がついた。
固体さん(NATが使った攻撃はコピーできるとしながら・・・)
「神の光」を使ってこないということはコピーできなかったのか。
もっとも、あの攻撃を使われたらVR空間での固体さんのデータは瞬時に破壊されてしまう(=現実の死
となる)のだが。
しかし、それに気づいたところでアラストルですら弾くNAT-EEのシールドに対処する術はない。
体を起こした固体さんの前に、NAT−EEが立ちふさがる。
NAT-EE《オリジナルの仇をとる、ね・・・本当にそんなことができると思ってる?》
固体さん「方法はあるはずだ。たとえ相討ちになったとしても・・・」
NAT-EE《でも無駄だよ。シールドが使える限り、俺には一切の直接攻撃は通用しない。 それとスネーク・・・あんたのことだ、そろそろ気づいてるんじゃない?俺が「神の光」を使ってないこと》
固体さん「・・・!」
NAT-EE《図星のようだね。でも、甘いよ。俺は「神の光」をコピーしてる。「マスター」と違い、これを使うには俺自身の全データを攻撃データに変換しないといけない。つまり、「神の光」を使えば俺もスネーク、あんたも同時に消滅するって訳だよ》
だから今まで使わなかったんだけど、と余裕綽々で続けたNAT-EEに固体さんはまさか、と呟いた。
固体さん「まさか、今までは俺を・・・」
NAT-EE《どうせ俺も消滅するのなら、直前までいたぶってやったほうが楽しみも増える!でもそれももう終わりだよ!》
NAT-EEの両手が不気味に光る。
NAT-EE《スネーク!俺と一緒にあの世に落ちるんだ!》
NAT-EEの両手から光が放たれようとしてまさにその時。
固体さんの手の中でアラストルがまばゆい光を放った。
NAT-EE《何っ?!》
一瞬、NAT-EEがたじろぎ、放とうとしていた「神の光」の動作を中断する。
固体さん「・・・これは!」
アラストルが放つ光の中から現れる人影。
NAT《スネーク、今から俺が唱える呪文に合わせて!》
固体さん「・・・NAT!」
生きていたのか、という言葉はぐっと飲み込み、固体さんが小さく頷く。
NAT《其は忌むべき芳命にして》
固体さん「・・・そ、其は忌むべき芳命にして・・・」
固体さんが続けると、アラストルから放たれる光がさらに強くなる。
NAT《偽印の使徒、》
固体さん「・・・偽印の使徒、」
NAT《神苑の淵に還れ、》
固体さん「神苑の淵に還れ、」
NAT《招かれざる者よ》
固体さん「招かれざる者よ」
NAT&固体さん「セラフィックローサイト!!!!」
その瞬間、アラストルから放たれる光が爆発した。
光はあの「神の光」を超えようかという輝きでNAT-EEに襲い掛かる。
NAT-EE《馬鹿な!何の魔力もないスネークが・・・その呪文を使うなんて・・・!!》
断罪の光をまともに受け、NAT-EEの周りの煙が瞬時にかき消される。
NAT《スネーク!》
今だよ、というNATの声を待たずに固体さんは床を蹴った。
NAT−EEの直前での跳躍、そしてアラストルを最上段に振りかぶる!
固体さん「ぬおぉぉぉぉっ!!!!」
渾身の力を込めた必殺の一振り。
そして、それは最後の力で展開されたシールドすら両断し、NAT-EEを切り裂いていた。
NAT-EE《・・・ぐ・・・!そ、そんな・・・「神」であるはずの・・・俺が・・・》
固体さん「・・・だから刃物は趣味じゃないと何回も言っていただろうが」
完全に全てのデータを破壊され、意味のないデータの羅列となって消えていくNAT-EEを振り返ることなく、固体さんが低く呟いた。
 
次回「いつも心に太陽を!」←をぃ
 
補足などが議論板にあるんでそっちも参照よろしくお願いします〜

サブタイ変えたいかも 投稿者:天麒麟@(・o・)
 
脱出エピソード書くのはええんやけど……太陽をどうしようか(汗)。
 
(Aパート)
固体さんと別れたギリアンは、裸いでんの手を引きつつ一足先に脱出口へと向かった。
プチが誘導してくれるものの、ただでさえだだっ広い上に薄れていくVR空間と現実空間の光景が微妙に入り混じり、走りにくいことこの上ない。
ギリアン「ヒトダマ、脱出口に何か目印みたいなものはあるか?」
ヒトダマ「目印ですかぁ? えーっと確か、小さく「走ってる人」みたいな表示がついてた筈ですぅ」
動ける程度にMPの回復したヒトダマが、なんとかギリアンに追いつきながら答える。
ギリアン「走ってる人? ……ああ、あの非常口でお目にかかる表示か」
ヒトダマ「ちょっと違ったような気もしますけど、そんな感じですねー」
見知った表示なら見逃すこともあるまい。
変なところで基本に忠実なんだなと思いつつ、少々速度を上げたその途端。
裸いでん「あっ!」
裸いでんが転んだ。大人の速度について行けなかったようだ。
ギリアン「すまん、裸いでん! ……大丈夫か?」
裸いでん「う、うん、大丈夫……」
健気に頷くものの、膝から僅かに血が滲んでいる。ヒトダマが慌てて傷口にバンデージを貼った。
子供連れの逃避行はなかなか大変だ。
ギリアンはしゃがむと背中を裸いでんに向けた。
ギリアン「裸いでん、負ぶされ。その方が早い」
うん、と言って裸いでんが負ぶさる。背中と肩に感じる6歳児の体重と温もりに、ギリアンはたまらない懐かしさを感じた。
(ハリー……)
嘗てはこうして負ぶってやったことがあったのかもしれない。しかし、全ては遠い記憶の彼方へと消え去り、そして親子であると知ったときにはもう、何もかもが手遅れだった。
裸いでん「……ギリアンおじちゃん?」
怪訝そうな裸いでんの声にはっと我に返る。
プチ「ギリアン……もしかして……」
ギリアン「いや、何でもない……裸いでん、しっかり掴まっていろよ」
努めて明るい口調で言うと、ギリアンは立ち上がった。
ふと見ると、ヒトダマがじーーーーっと彼を見上げている(高度やや低め)。
ギリアン「……何だ?」
ヒトダマ「あ、いえいえ、裸いでんくん楽ちんそうだなーって思って」
発言内容は脳天気だが、その口調からはいつもののほほんとした調子が消えている。
ギリアンの様子から、何かを感じ取ったのか。
ヒトダマ「……先に進みましょう。生ある限り前進するのが人間です」
あるいはこのうすらぼんやりしたヒトダマにも、辛い過去があるのかもしれない。
(生ある限り前進、か)
先に逝った息子のためにも。生ある限り。
ギリアン「……そうだな。行こう」
ギリアンはちょっと笑うと、ヒトダマの頭を軽くぽんぽんと叩いて走り出した。
 
続く。

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