過去ログ(No.151〜160)
  
議論板は夜書きまふ 投稿者:日向@ねむねむ
 
(Bパート)
 
固体さんがふう、と息をついたその時。
「スネーク!」
聞きなれた声が固体さんの耳に届いた。
固体さん「メリル!・・・それにヒトダマ!」
どうしてここに、と言いかけた固体さんだが、彼女がここにいるということは考えられる理由は一つしかない。
メリル「スネーク、私も手伝うわ」
ヒトダマ「RAYに乗った液体さんが相手じゃあ丸腰だと勝てないですよ〜」
尻尾を掴まれ、逆さ吊りになって言うヒトダマ。
固体さん「・・・ああ、助かる」
普段なら「邪魔をするな」とか「お前のお守をしているヒマはない」などと言って突っぱねる固体さんだが、今回ばかりは素直にうなづい
た。
それだけ、体調が悪いのだ。
メリル「大丈夫?顔色悪いわよ」
固体さん「大丈夫だ」
体を起こし、固体さんはちら、と騒ぎの方を見た。
固体さん「厄介なことになったな・・・」
NATが首を突っ込んだのは何か考えがあっての事なのか、それとも全く考え無しの事だったのか。
どちらともとれる彼女の行動に、固体さんはもう一度、特大のため息をついた。
 
ひとしきり手を振ってから、NATは落とした携帯を拾い上げた。
NAT「AIだったあの頃が懐かしいよ・・・」
人間ってなんでこんなに面倒なんだろうねと愚痴りつつ、いくつかのボタンを押して最終調整をする。
NAT「・・・うん、なんとか周波数の調整もできたし」
手が疲れた〜と相変わらずのほほんと続け、NATは頭上のRAYの頭を見上げた。
そのとたん、NATの表情が厳しいものに変わる。
NAT「これでもあんなわけわかんない事言ってられるかな」
風もないのに何故か、NATの髪がふわりとなびく。
緑がかった青白い光がうっすらとNATのまわりで揺らめく。
その中でデータの片鱗を思わせるような記号や数字の羅列が舞い上がる。
 
をたこん「な、何が起こってるんだい?」
事務所でTV中継を見ていたをたこんが信じられない、と声をあげる。
突然、NATの周りを取り巻きはじめた淡い光、理論では説明出来ない事態に面食らっているようである。
をたこん「いくら元はAIでもこんな事はありえない・・・」
・・・と。
突然、光が消え去った。
をたこん「?」
TVの向こうではNATが不思議そうに首をかしげ、そしてげっと慌てたようにきょろきょろしている。
大佐「・・・失敗したのか?」
をたこん「何をしようとしていたのかは分からないけど、でもうまくいかなかったのは確かみたいですね」
スネークとメリル、間に合うかなとをたこんと大佐は互いに顔を見合わせた。
 
NATを取り巻いていた光が突然消える。
NAT「・・・をよ?」
予定では電波に乗せた自分の意識はRAYの動作を制御するプログラムに干渉するはず。
それなのに、RAYに干渉する事もなく突然光が消えて・・・
不思議そうに、NATが手の中の携帯を見る。
NAT「・・・げっ」
もしかするとさして容量があるわけでもない携帯に負荷を掛けすぎたのか。
先ほどまで点灯していた液晶はブラックアウトしており、どのキーを押しても反応する気配がない。
それどころかうっすらと焦げ臭い匂いに、黒い煙が・・・
メイ・リン「まさか壊したの?!先週機種変したばかりなのに、しんじらんない!」
NAT「そ、そう言われても・・・あれれ・・・?」
ぐらり、とNATの視界が傾く。
あっと思う頃にはそのままNATは地面に倒れてしまっていた。
メイ・リン「NATさん?!」
NAT「あ〜・・・さっきRAYに向けて飛ばしたシステムデータが戻って来れずに消えてるよ〜」
体を起こそうとしても、全く力が入らない。
あのNAT-EEとの戦いでシステムデータの一部を吹っ飛ばした状態で今もなお修復中なのである。
その状態でまたシステムデータの一部が吹っ飛べば・・・
NAT「俺、一生寝たきりかな・・・」
のほほんと深刻な事を呟くNAT。
NAT「あ〜でも復旧すればちゃんと動けるか〜」
メイ・リン「NATさん、しっかり!」
メイ・リンがNATを起こそうとするがぐったりとしたNATの体が動く気配はない。
NAT「ごめん〜、復旧に時間かかりそう〜」
責任感皆無のNATの言葉が、またも静まり返った繁華街に響いた。

次回「笑撃の液体さん」
NATのシステムデータはいつになったら動ける程度に復旧するねん!

ログの合間に書きました。 投稿者:天麒麟@ふう
 
「笑撃の液体さん」
 
(Aパート)
繁華街は野次馬でごった返している上に交通規制が布かれて大渋滞。それらを強引に押しのけてようやく固体さん一行は現場に到着した。
固体さん「やはりリキッドか……」
メリル「あの男、まだあなたのこと狙ってるのかしら?」
固体さん「諦めが悪いというか執念深いというか……まあ、昔からだが」
固体さんとメリルの会話の間で、詳しい事情をよく知らないヒトダマがきょときょとしている。
ヒトダマ「あのう、液体さんも固体さんの命狙ってるんですかぁ?」
メリル「違うわよ。リキッドはスネークを嫁にしようと企んでるの」
ヒトダマ「はあ、お嫁さんに……って、ええーーっ?! お二人って、そ、そーゆー関係だったんですか?!」
がびーーん!
ヒトダマ「恋愛の形にケチつける気はありませんけど、同性の肉親はちょっちきっついですぅ〜〜(汗)」
固体さん「断じて違うっ! 俺にその気はないっ!」
心の底から力一杯否定する固体さん。
固体さん「と、とにかくまずは人質になっている(らしい)メイ・リンとNATを何とかせんとな」
警官隊が迂闊に手出しできないのは、そのためでもあるのだ。
しかし、彼らの位置からはRAYの脚部が邪魔になって二人の姿が確認できない。
メリル「メイ・リンと連絡は?」
固体さん「さっきから呼びかけているが、応答がない。どうやらNATが余計なことをしてくれて無線携帯が故障したらしい」
実はここに到着する少し前に、固体さんはをたこんから「何かをしようとしたNAT」の映像を受け取っていたのだ。
固体さん(どうせRAYのシステムに侵入でもしようと思ったんだろうが…)
ビンゴ、である。
しかも侵入に失敗した上貴重な通信手段を台無しにし、身動きとれない状態になっているようだとまで固体さんは喝破していた。
固体さん「何とか連絡だけでも取れればいいが……」
ヒトダマ「あのぉ、私見てきましょうか? 私だったらもし機銃で撃たれてもダメージ受けませんし……」
ヒトダマの思いがけない申し出に、固体さんとメリルが顔を見合わせた。
 
「リキッドぉぉ!!」
自分の名を呼ばわる朗々とした響きに、液体さんはRAYのカメラをそちらに向けた。
液体さん<固体兄貴……>
語尾にハートマークを付けかねない声音で(汗)、液体さんが応える。
固体さん「朝っぱらからバカな真似をするな! 仕事はどうした仕事は!!」
液体さん<仕事? 俺にとって兄貴とのコトは仕事以上の最優先事項だ!>
固体さん「誤解を招くような発言をするんじゃないーーっ!!」
いかん……このままだとネオ・コウベ一の変態兄弟だとレッテルを貼られかねん(汗)。
固体さんは疲労と寝不足から来る激しい目眩と戦いながら声を張り上げた。重火器が手元にない以上、今はとにかく液体さんを説き伏せて
投降させるしか方法はない。それがダメならヒトダマの攻撃魔法が最後の切り札だ。
固体さん「いいか、これだけははっきり言っておく! 例え法律が許しても俺は絶対にお前の嫁にはならんからな!」
しかし、そんな固体さんの言葉にも液体さんは不敵に笑うだけだ。
液体さん<照れるなよ兄貴……いやよいやよも好きの内ってか?>
固体さん「アホかーーーっっ!!」
……くらっ。
メリル「スネーク!」
声を張り上げすぎて思わずふらつく固体さんを、隣にいたメリルが支える。
液体さん<お前は確か兄貴の職場の秘書……ええーい、俺の兄貴にくっつくな!>
メリル「……あいつ、あたしとメイ・リンを間違えてない?(汗)」
固体さん「勘違いと思いこみもあいつの昔からの悪い癖だ(汗)」
液体さん、なりはオトナでも精神年齢はまだまだおこちゃまのようである……。
 
一方、ヒトダマはというと、固体さんが液体さんの気を逸らしてくれたおかげでうまくメイ・リン達に接触することができていた。
ヒトダマ「ちゃんと固体さんの言うこと聞いて避難しないからですよぅ」
NAT「いやー、インターセプトには自信があったんだけどなぁ……」
ヒトダマの小言に、まだ動けないNATがたははと笑った。
NAT「ケータイの出力が思った以上に小さくてさぁ。もっと大きけりゃ今頃RAYに安来節踊らせてたのに」
踊らせるの好きですね、とツッコミつつ、ヒトダマがケータイを取り出してメイ・リンに渡した。
ヒトダマ「固体さんから連絡用にって預かってきましたぁ。NATさんが移動可能になったら連絡下さいね」
NAT「それ貸して。今度こそうまくやるから」
ヒトダマ「NATさんには絶対触らせるなって伝言も預かってますぅ」
NAT「……ちぇ」
んじゃ私、一度戻りますんで、ときびすを返したヒトダマの背中にNATが問いかけた。
NAT「……なあ。スネーク、怒ってるかな……」
ヒトダマ「NATさぁん……怒ってないと思いますぅ?」
NAT「う……(汗)」
殴られる程度で済むかなあ、と今更ながらにちょびっと自分の行為を後悔するNATであった。

タチコマならかわいいのにね(意味不明) 投稿者:天麒麟@ふふう
 
(Bパート)
頑として求愛(……)を受け入れようとしない固体さんに、
液体さん〈まさか固体兄貴……俺以外に誰か心に決めた相手でもいるのか?!〉
バカな問いに一瞬いない、と答えようとした固体さんであったが、
(心に決めた相手か……「いる」って言えばこいつも諦めるかな?)
普段ならそんな適当な言い訳などしないのだが最早体力も精神力も臨界に達している。
とっと終わらせて帰って寝たい……甘い誘惑(笑)が意識を掠めた瞬間、固体さんの口は勝手に動いていた。
固体さん「いる」
液体さん〈何ーーーっっっ??!!〉
爆弾発言に、液体さんだけでなくメリルやメイ・リンまでがはっと固体さんを見る。
液体さん(狼狽しつつ)〈だ、誰だそいつは!? (はっ)まさか兄貴の相棒……〉
固体さん「んなワケあるかーー!」
眠気に逆らいながらもきっちり突っ込むところは突っ込む固体さん。
しかし、その先を考えていなかった。
IQ180の「伝説の傭兵」らしからぬ失態である。
身近なところではメリルやメイ・リンの名が上がるがあまりに身近過ぎる。しかも普段は割と仲のよい二人だが、固体さんを巡って小さな
火花を散らすことも少なくないのだ。
つまりここでどちらかの名前を挙げてしまうと後々絶対に禍根を残すことになる。とすると他の女性ということになるが……。
思い当たる名前はどれもこれもフォローが利きそうにない名ばかりだ(汗)。
かといって、いくらこの場を凌ぐためとはいえ男連中の名を挙げればこの場で変態兄弟決定である。
(どうするかな……)
思わず固体さんの目が一瞬NATを見る。
とそこへ、
ヒトダマ「メイ・リンさんにケータイ渡してきましたぁ」
伝令役を買って出たヒトダマが戻ってきた。
ヒトダマ「固体さんの言ったとおりですねえ。NATさん、RAYのシステム乗っ取ろうとして失敗したみたいですぅ。んで自分のシステムデー
タも一緒に吹っ飛ばしちゃったらしくて動けないんですって… ……で、どうしたんですか、固体さん?」
ヒトダマの報告に、固体さんは思わず額を押さえた。
……ちらっとでも候補に入れた俺がバカだった……。
だがそうするとますます思い当たる節が無くなる。
と。
ヒトダマ「……固体さん?」
いた。
人間ではないがちゃんとフォローの利くヤツが。
固体さんの言うことなら泣きながらでも聞いてくれるヤツが。
固体さん「……ヒトダマ。ちょっと協力してくれ」
ヒトダマ「はあ? はい、固体さんのお力になれるなら…………ふにゃっ!」
がしっ、と頭を鷲掴みにされ、ヒトダマが慌てる。
ヒトダマ「あたたたた、こ、固体さん痛いですぅ〜〜っ!」
固体さん「耐えろ。痛いのは今だけだ」←?
怪しげ〜な発言をかましつつ固体さんは掴んだヒトダマを高々と差し上げた。
固体さん「リキッド! 俺が心に決めたのはこいつだ!!」
液体さん&メリル&メイ・リン&その他大勢「何だってぇぇぇぇ〜〜〜っっ!!??」
ヒトダマ「ほ、ほにゃぁぁぁぁっっ!?」
RAYに気取られないよう警戒するのにいっぱいいっぱいで固体さんの「心に決めた人」発言を聞いていなかったヒトダマが一番慌てている。
ヒトダマ「こ、固体さん、いい一体何事ですかぁぁ?(焦)」
固体さん(小声で)「いいから適当に調子あわせてろ」
液体さん(茫然と)〈何故だ……何故そんな得体の知れん物体を……〉
自分だって人のこと言えた立場じゃない液体さんが、RAYを固体さん達の方へ前進させた。最早人質代わりのメイ・リン&NATのことなど念
頭から消え去っているらしい。
ぐうっ、とRAYの頭部がヒトダマに迫った。
ヒトダマ「あ、あははははは、初めましてぇ」
引きつった表情でとぼけた挨拶をするヒトダマ。
液体さん〈こ、こいつが固体兄貴の………ん?〉
こいつは確か……。
液体さん〈……完全兄貴のファイルで見たな……そうか〉
何か思い当たる節があったのか、液体さんはRAYの頭部を後退させた。
固体さん「そういうことだ。だから俺のことはもう」
諦めろ、と固体さんが言いかけたその時。
液体さん〈……コペルソーンエンジン〉
固体さん&ヒトダマ「なっ……!」
思いがけない液体さんの言葉に固体さんとヒトダマが凍り付いた。
液体さん〈……今回はこれで退いてやるが兄貴……俺はそいつの正体を知っている。どこから、どうやって来たのかもな〉
RAYが後ずさりを始めた。メイ・リンがNATに手を貸して慌てて手近の建物の陰に退避するのが見える。
固体さん「リキッド! お前どこまで知っているんだ!?」
液体さん〈くくく、知りたきゃ追ってこい、兄貴! ……それから〉
意味ありげな言葉を残すと、液体さんはRAYを回頭させて逃走を始めた。
液体さん〈俺は絶っ対に諦めんからな!〉
いやそれは諦めて欲しいんだが、と、去りゆくRAYを見送りながら固体さんは胸の中で呟いた。
 
次回「×(ペケ)ファイルの謎」 ※番組改変時のため再開まで暫くお待ち下さい。

やっとこさ前半だけ・・・ 投稿者:日向@久々・・・
 
転勤してからぜんぜん時間が無い〜
てか宿題多すぎ。
 
「×ファイルの謎」
 
RAYが足音荒く立ち去ったのを確認すると、固体さんは手にしていたヒトダマを放り出し、メイ・リンとNATが避難したと思しき建物の影に走
りこんだ。
こんなことはさっさと終わらせて、早く眠りたい・・・しかしその前にしなければならないことがたくさんある。
固体さん「メイ・リン、NAT!無事か?!」
NAT「大丈夫、怪我は無いよ〜」
のほほんとしたNATの声にぐっと怒りを飲み込む固体さん。
固体さん「メイ・リンは?」
メイ・リン「私も大丈夫。でも・・・」
言葉をにごらせるメイ・リン。
固体さん「・・・でも?」
訝しげな面持ちでメイ・リンを見る固体さん。
メイ・リン「スネークってあんなのが趣味だったなんて・・・(号泣)」
・・・どうやら、というかやはり、誤解されていたらしい。
メイ・リン「しかもスネーク、会って数日もしないうちにこれって、一目ぼれ?!信じらんない!」
固体さん「あ、だからな、メイ・リン・・・あれはリキッドを諦めさせるための嘘でだな・・・」
メイ・リン「でも、だからってあんなのを使う必要ないじゃない!サイテー!!」
・・・じゃあメイ・リンの名前を出してみろと、言いかけた固体さん。
だがそれを言うわけにもいくまい。
ぐっと言葉を飲み込み、固体さんは特大のため息をひとつ。
固体さん「俺が迂闊に名前を出してみろ。血の雨が降ることは確実だぞ」
NAT「つーかさ、せめて俺の名前にしておけばまだ多少はスネークもただのロリコンって認識だけで済んだだろうに・・・どーせ俺がドジふん
だから候補から外したんだろうね」
図星、である。
・・・というよりも。
固体さん「・・・それはメイ・リンとかメリルとか答えても同じ結果だ」
世間一般、年の差が一回り以上あれば大抵ロリコンとして認識される。
・・・と、答えてから。
固体さん「ってお前は何言っとるーーーー!!!!」
すこぱーん!!
NATの頭に何か、が炸裂した(さてなんでしょう?)
NAT「・・・はうっ」
勢いが良すぎたか、それとも当たり所が悪かったのか。
目を回し、さらに頭上でくるくると星が回りだすNAT。
ヒトダマ「ああっ、NATさぁぁん!!」
いつの間に来ていたのか、ヒトダマが一声叫んでNATに駆け(?)寄る。
ヒトダマ「もう、固体さぁん・・・女の子の頭をゴミバケツの蓋で殴るなんて、ひどいです〜」
固体さん「俺は断じてロリコンじゃないっ!」
そう言いつつもNATの足を掴み、逆さ吊りにして揺さぶってみたりする。
ぽろん、ぽろんとNATの頭から星が落ちていき・・・
NAT「・・・はうっ」
ぶら〜んとぶら下げられたまま、NATが情けなさそうに固体さんを見上げた。
NAT「でもスネークもなんで「いる」って答えたんだよ・・・いくら早く帰って寝たいってのがあったかもしれなくてもあの事態になるのは分
かってたんじゃないの?」
固体さん「・・・う、」
NAT「・・・「伝説の英雄」も歳には勝てない、ってことか・・・」
それともデキセトリンとかヌゥートロピクスとか打ってないと無理ってことなのかな、とNATが続けると反論ができない様子。
珍しく、NATが固体さんを睨むかのように見上げた(実はまだ起き上がれない)。
NAT「他人より短い寿命、全うするつもりは無いにしてもスネーク、あんたはまだやらなきゃいけないことがたくさんある。たとえ寿命がき
たとしても死ぬことは許されていないと思ったほうがいいよ」
固体さん「いきなり何を、」
そう、固体さんが言うもNATはぷいっと顔を背けた。
ヒトダマ「ま、まさかぁ〜 それはともかく、こんなところで話しているのも何ですし、NATさんも固体さんも戻ったほうがよさそうですし
〜、一度戻りません?」
少々気まずい空気が流れたのを察し、ヒトダマが間に割って入る。
メイ・リン「そうね・・・一度どこかで落ち着いて話し合ったほうがいいかもしれないわね」
なんでリキッドが「コペルソーン・エンジン」を知ってるのかも気になるし、と続けると固体さんも気を取り直して頷いた。
固体さん「・・・そうだな」
そう言うと、ひょいとNATを担ぎ上げる。
NAT「・・・あぅ〜」
力なく抗議の声を上げるNAT。
NAT「もちぃ〜っとやさし〜く抱えてくれると嬉しいんだけどな〜」
固体さん「やさしくとは、」
不機嫌そうな顔でたずねると、NATは当然、といったようにお約束の返答を返した。
NAT「お姫様抱っことか〜」
固体さん「・・・捨てて帰るぞ」
NAT「ああん、冗談なのに〜」
頭に血が上る〜とかゆれる〜とかぼやくNATの声が遠ざかっていった。
 
(Aパート終了)
長らくお待たせしました。
Bぱーと、のんびりまったり書いていきまふ。

後半でございます 投稿者:日向@あぅ
 
(Bパート)
事務所のドアが乱暴に開けられる。
をたこん「あ、お帰り、スネーク」
相変わらず愛用のパソコンから顔を上げずにそう、声をかけたをたこんだったがなんとな〜く違う雰囲気に頭を上げ、凍りついた。
をたこん「え、えーっと・・・」
NAT「うえぇ〜・・・よ、酔った・・・」
ぽい、とソファに投げ出されたNATが心底気持ち悪そうに呻く。
どうやら帰りの道中、固体さんの背中で散々揺さぶられたらしい。
NAT「だからもちぃ〜とやさしくって言ったのに〜」
固体さん「自業自得だ」
一言だけぶっきらぼうに言い捨て、固体さんは事務所を出て行った。
ヒトダマ「んも〜、NATさぁん、無茶しすぎですよ〜」
NAT「スネークよりはマシだと思うけど〜」
頭を上げたNATと、をたこんの目が合う。
をたこん「ええと・・・君がNAT、だよね」
NAT「昨日はど〜も〜 なんとか消滅せずにすんだよ〜」
「昨日」とはもちろん、アーセナルのVRでの件である。
アーセナルの攻性防壁(+取り込まれたNAT-EEの攻撃)が思っていた以上に手強く、撤退を考えていたところへのをたこんの援護にずいぶ
んと助けられたらしい。
だが。
をたこん「アーセナルのときとはずいぶん雰囲気が違うんだけど」
NAT「NAT-EEと戦ったときにシステムファイルの大半と特殊能力のライブラリを吹っ飛ばしただけだと思ったんだけどどーも人格データにも
影響出てるらしくて」
のほほんな様子のNATにをたこんが小さく息をつく。
NAT「そこで、をたこんに頼みがあるんだけど」
まだまともに動けない様子で、NATがをたこんに話を持ちかけた。
 
事務所を出て、自分の部屋に向かう固体さん。
・・・と。
固体さんの視界に飛び込んできたのは燃えるような赤。
固体さん「・・・メリル、」
そういえば帰りには会わなかったな、と固体さんがぼんやりとそう思った瞬間。
メリルの右手がゆっくりと後ろに振られた。
まずい、と固体さんが思うまもなく彼女の手が戻ってくる。
べしぃっ!
ごい〜ん!
固体さん「・・・はうっ」
思いっきり吹っ飛ばされた挙句、壁に頭をぶつけた固体さん。
一瞬、意識が闇の彼方へ飛んでいきそうになるがかろうじてそれを引き戻し、首をぶんぶんと振る。
固体さん「・・・メリル!いきなり殴ることもないだろう!」
メリル「嘘でもあんなことは言うもんじゃないわよ!」
今にもDEを抜きそうな勢いで固体さんに迫るメリル。
固体さん「だったらどうしろと。お前の名前を呼べばよかったのか」
メリル「そんなことする人じゃないでしょ!」
それに、とメリルが続けた。
メリル「嘘だと分かっていてもヒトダマは傷ついてるわよ」
それは分かっている。
しかし、あの状況で「いない」と答えられるのか。
メリル「あとでちゃんと謝りなさいよ」
固体さん「・・・ああ、」
真っ赤に腫れ上がった(くす)頬をさすりながら、固体さんが頷いた。
 
をたこん「・・・ま、マジ?」
ヒトダマ「ほにゃ〜(呆)」
NATの「頼み」を聞かされたをたこんとヒトダマがたまらず声を上げる。
をたこん「確かに今の君なら不可能でもないと思うけどいくらなんでも・・・」
ヒトダマ「ってゆーか、それって・・・無茶ですよ〜」
NAT「分かってる。システムデータの大半を失ってる俺にはかなり危険な状態って分かってるんだけどね〜」
さして深刻そうな顔をせず、NATがあははと笑う。
NATがをたこんに言った「頼み」とは、こうだ。
 
ヒトダマが戻り道分かんなくなって困ってるし俺も協力したいけどデータの修復に時間が掛かるから早く復旧したいんだよね。
そこでをたこんに頼みたいのは俺にもナノマシンを注入してもらえるように掛け合ってもらいたいのと、小型でも高出力の通信機を作って
もらいたいの。
そうすれば今回みたいにRAYをジャックしそびれることもないし他の「オリジナル」が有事の際に利用するバックアップライブラリから修復
データをDLすることも可能だし・・・それに・・・
をたこん「それに?」
今の俺じゃ、「コペルソーン・エンジン」で作られたVR空間でヒトダマやスネークをサポートできない。
 
をたこん「でも、どうしてそこまでヒトダマを」
NAT「普通、VRを介して違う次元に出現することはありえない、とされてきたんだけど「コペルソーン・エンジン」の出現でその法則が破ら
れてしまった・・・てのが原因かな」
ヒトダマ「・・・あ、」
ふと、思い出したようにヒトダマが声を上げた。
ヒトダマ「そういえば〜、液体さんが「コペルソーン・エンジン」のこと知ってたようですけど〜 しかも「完全兄貴のファイルに〜」とか
言ってましたよね〜」
NAT「・・・ソリダスか・・・」
そこまで言ってから、NATはちら、とヒトダマを見た。
NAT「そのファイル、見せてもらう必要ありそうだよね」
意味深なNATの言葉に、ヒトダマがほにゃっと小さく声を上げた。
 
次回「潜入!液体蛇's Room」
固体さんは何も知らずに眠りこけているようでございます・・・(汗)

かなり駆け足 投稿者:天麒麟
  
「潜入! 液体蛇's Room」
 
ヒトダマ「ま、まさかNATさん……?」
いかにも何か企んでますといった表情でNATがにやりと笑う。
NAT「ヒトダマだって気になるだろ? リキッドがどこまで掴んでいるのかとかさ」
ヒトダマ「そ、そりゃそうですけどぉ」
をたこん「ソリダスのファイルか……リキッドも見たとなると、「さんず」の事務所か実家か……」
どちらかというと実家の可能性が高いね、と考え考えをたこんが呟く。
をたこん「でもどっちにしても今は見られないと思うよ」
NAT「何で?」
をたこん「今朝から続けざまに騒動を起こしてるからね。警察の家宅捜索の真っ最中だよ今頃は」
そりゃそうである。
まさか警察でごった返してる中に乗り込んでいって「ソリダスのファイル見せてください」と言うわけにもいくまい。
即刻つまみ出されるか若しくは不審人物扱いされてしょっ引かれるのがオチである。
をたこん「この件については僕からギリアンへ連絡をしておくよ。アーセナル事件との関連性もあるようだしね。とにかく情報が入ったらちゃんと知らせるから、NAT、君はまずちゃんと体調を戻しておくこと」
ヒトダマ「そうですよ〜。お気持ちは嬉しいですけど、私なんか後回しでいいんですから、自分の体のこと考えて下さいよぉ」
NAT「……ちぇ」
二人に諫められ、ちょっとNATが唇を尖らせた。
  
丁度その頃。
固体さんはようやく自室に辿り着いていた。
室内は見違えるほど整頓されているが、疲れと眠気がピークに達しているせいか殆ど気がつかない。
上着を脱ぐのももどかしく、ベッドに倒れ込む。
ベッドもシーツと枕カバーが新しいものに取り替えられているが、やはり気づかない固体さん。
ふと、先程メリルに言われた言葉が脳裏を過ぎった。
(……やはりまずかったかな?)
行動を共にするうちいつしか「手伝え」「はぁい」という呼吸ができあがってしまっていたため、あの瞬間は何とも思わなかったのだが、考えてみればメリルの言うとおり、あのヒトダマの純情(?)を利用したことに変わりはない。
(変なところでナイーブだからなあいつは……)
傷ついた様子など微塵も見せなかったが、もしかしたら……。
固体さん「……一休みしたら、謝っておくか」
小さく呟いて、固体さんは目を閉じた。
 
NAT「……スネークは?」
ヒトダマ「……寝てるみたいですぅ」
歩けるまでにデータが復旧したNATとヒトダマが固体さんの部屋に戻ってきたのはそれから暫く後のことだった。
NAT「うわ〜、ホントだ。よっぽど眠かったんだなあ」
ヒトダマ「ああもう、布団もかけないで〜。風邪引いたらどーすんですか全く……」
ベッドに倒れ込んだそのままの姿勢で眠りこけてる固体さんに、ヒトダマが布団を掛けてやる(どうやら固体さんが気に病む必要はまったくないらしい)。
で、NATはというと……。
NAT「ふ〜ん、寝顔は子供みたいだなー。……へへ、落書きするなら今のうちかも」
おでこに「肉」とか書きたそうな顔をしている。
ヒトダマ(汗)「……NATさぁん、ばれたら殺されますよぅ」
NAT「……うっ、やめとこ(冷や汗)」
固体さんに悪戯するのを諦めたNATは、今度はごそごそとクローゼットの中を漁り始めた。
NAT「うーん、ないなあ……どこにあるんだろ」
ヒトダマ「何してんですか?」
丁寧に固体さんの靴まで脱がせていたヒトダマが、怪訝そうに首(全身?)を傾げる。
NAT「スネークのスニーキングスーツ」
ヒトダマ「それなら私、洗っちゃいましたけど……どうするつもりなんですかあ?」
NAT「そりゃ勿論、潜入捜査にはスニーキングスーツじゃないとね」
さらっと言ってのけるNAT。
ほへ? と再び全身を傾げるヒトダマ。
途端に、あることに気づいた。
ヒトダマ「………って、まさかNATさん!?」
NAT(声を抑えて)「しーっ! 声がでかいよ!」
はっと固体さんを見るが、よほど眠りが深いのか、固体さんが起きる気配はない。
二人はこそこそとベッドから離れ、ソファの陰に身を潜めた(あまり意味はない)。
ヒトダマ(小声で)「もしかして、ぱぱさんのファイルを探しに行くつもりですか?」
NAT「そのつもり」
ヒトダマ「ダメですよ! やっと歩けるようになったとこじゃないですかぁ!」
NAT「だーいじょーぶ! ちらっと行ってちょこっと見せて貰うだけだからさ」
そうやってさっきデータぶっ飛ばしたんじゃなかったっけなあ……と、全然懲りてない様子のNATに、
ヒトダマはそっと溜息を吐いた。
(Aパート終了)

部屋にたどり着けてない(涙) 投稿者:天麒麟@ゴメン
 
(Bパート)
ヒトダマ「でもNATさぁん……また何かあったらどーすんですか?」
NAT「だからさ、そのためにもヒトダマには一緒についてきて欲しいわけよ」
ヒトダマ「へ?」
NAT「いざとなったら大魔法で建物ごとどかーんと」
ヒトダマ「そんなことできませんよっ!」
……で、結局。
固体さんに迷惑がかかるからとかせめてもう少し休んだ方がいいとか言って何とかNATを思い止まらせようとしたヒトダマだが、NATの「じゃあいいよ。俺一人でも行くから」発言に、同行を承諾する羽目になってしまった。
理由は……言うまでもないだろう。
因みにスニーキングスーツは諦めた(当たり前だ)。
ヒトダマ「……ほんとーに、ちょこっと見るだけですからね」
NAT「わーってるって。……ヒトダマだって、ホントはスネークの実家がどんなのか、興味あるんだろ?」
ヒトダマ「うっ………そ、そりゃないって言ったら嘘になりますけどぉ(汗)。……ところで、どーやって固体さんの実家まで行くんですか?」
ヒトダマもそしてNATも、実家の住所までは知らないのだ。
しかしNATは何故か余裕の表情である。
NAT「ふっふっふ、俺に任せなさぁい」
二人が向かったのは事務所ビル地下の駐車場だ。
ここには普段、をたこんのビートルと大佐のセダン(共に私用車)、そして事務所名義のトライサイクルが2台駐車してある。
その内の1台……白いトライサイクルのボンネットをぺんぺんと叩いてNATが言った。
NAT「こいつでスネークの実家まで行く」
ヒトダマ(仰天して)「ええ〜〜っ? NATさん、運転できるんですかぁ??」
NAT「できないよ。けどこいつにはをたこんのカブトムシには付いてない機能があるじゃん」
ヒトダマ「??」
NAT「GPS(経路誘導システム)。アルファビルの自動交通システムにリンクして、スネークの実家まで誘導してもらおうってワケ。辞任したとはいえ市長まで務めてたソリダスの実家でもあるわけだからさ、情報統制管轄エリア内にあると思うんだよねー。それに、オートにしてしまえばわざわざ運転する必要はないし……と、開いた開いた」
自他共に認める「デンパな人」NATにかかれば車の電子ロック解除など、朝飯前である。
ロック部分に指を添えて約3秒。それで完了だ。
NAT「さーてと、アルファビルを呼び出すかな」
ヒトダマを助手席に放り込み、当然のように運転席に収まるとNATはホログラム・モニターを立ち上げた。
トライサイクルに搭載されたAIが要求する「所有者認識コード」の入力をやすやすと突破し(自分を事務所の新職員だと認識させた)、アルファビルの自動交通システムから目的地データを検索、ダウンロードする。
隣で見ていたヒトダマがほえ〜、と嘆息した。
モニターが瞬き、目的地を3Dマップ上に表示させる。
NAT「やっぱり……統制管轄エリア内だ。これなら寝てたって勝手にトライサイクルが連れていってくれるよ」
ヒトダマ「はあ……でもさっさと済ませてさっさと帰ってきましょうね」
NAT「心配ないって。んじゃ、行こうか」
自信満々にそういうと、NATはハンドルに手をかけた。
 
白い車体が地下駐車場から滑り出ていくのを、じっと見つめる眼差しがあった。
首筋に指を当て、無線機を作動させる。
「……ああ、今出ていった。追跡を頼む」
どこに行くかはだいたい想像がついているのだが。
「全く……どこまでも懲りないヤツだ……」
呆れたようにそう呟くと彼……固体さんは銜えた煙草に火をつけた。
 
裏通りから表通りへ。そこでドライブモードからフライトモードに移行した白いトライサイクルは、未だRAY騒ぎの余波でごった返す繁華街を抜けて住宅地へと向かっていった。
NAT「ふーん、このあたりまでくると町並みも随分きれいっつーか静かっつーか……」
ヒトダマ「そーですねー。元市長の家があるくらいですしねー」
住宅地を抜けるとその先は閑静な森が続く。しかし、郊外ではない。
NAT「都心からそんなに離れてないのに森があるなんて……と、そろそろかな」
マップ上に目的地が近いことを示すメッセージが表示され、トライサイクルの高度が下がり始める。
ヒトダマ「あの……NATさぁん……も、もしかしてアレでしょうか……??」
何故かヒトダマの声が僅かに上擦っている。
NAT「どしたのヒトダマ………げっ!」
モニターに気を取られていたNATも、フロントガラスの先にいきなり広がった「目的地」の光景に思わ
ず息を飲んだ。
広大な敷地。
それをぐるりと取り囲む堅固な塀。
そしてその真ん中に佇むは大邸宅。いや、邸宅というよりは……。
NAT「……要塞?」
ヒトダマ「な、NATさぁん……ほんとにここに潜入するんですかあ?(汗)」
NAT「そ、そのつもりだけど……(汗×2)」
ちょっとヤバイかもしんない……。
 
次回、「蛇家の一族」
屋敷のデザインはもち大親父殿の趣味とゆうことで。

ちとばかし落ち着いたので。 投稿者:日向@遅くなりました
 
・・・言い訳はせんよ。というかしようがない。
 
「蛇家の一族」
 
ごつい要塞のような豪邸を目の前に、どーしようと顔を見合わせる二人(?)
NAT「どうしたものやら・・・」
スネークじゃあるまいし、どうやってあんなごついところに潜入するのやらと諦め気味のNAT。
恐らくセキュリティも万全、監視カメラなどのシステムは特技の電波クラック(?)で沈黙させられ
たとしてもあの要塞、トラップも多いだろうし恐らくガードマンも・・・(汗)
かといってここで手ぶらで帰れば固体さんも許してくれないだろう。
う〜ん、とうなってNATがちら、とヒトダマを見た。
ほにゃ、と全身を傾けるヒトダマ。
ヒトダマ「確かに私は壁抜けもできますけどぉ〜、NATさんみたいにシステムいじってファイル見るな
んてことできませんよぉ〜」
NAT「うん、ちょっとそれも考えたんだけどヒトダマさ、スネークの部屋を見つけたら二度と帰ってこ
ないような気もしてさ〜」
ヒトダマ「・・・うにゃ(汗)」
図星、だったようである。
NAT「と、するとどこからどうやって潜入するかだなぁ・・・って、あれ?」
突然、NATが身を乗り出した。
ヒトダマ「どうしたんですかぁ?・・・あれれ?」
NATの視線の先を追ったヒトダマも、あれと全身を逆に傾ける。
ヒトダマ「人がいっぱい、ですねぇ・・・」
NAT「うん、しかも・・・警察?」
言ってから、二人があっと声を上げる。
二人「今朝の騒ぎで警察が家宅捜査してる?」
門をひっきりなしに出入りする制服姿の警官たち。
警官たちが台車に載せたダンボールを、敷地内に運んでいる。
二人が、顔を見合わせた。
二人「これは・・・チャンスかも」
かくして、二人はまんまと固体さんの実家への潜入を成功させたのだった・・・(って、手順省きすぎだぞ)
 
NAT「まさかあんな手が通用するなんてね・・・」
堂々と廊下を歩きながら呟くNAT。
その腕に抱えられたヒトダマがほにゃっと頷いた。
ヒトダマ「ちょこ〜っと信じられない感じもしますけどね〜」
NAT「作戦を立てた本人が何言ってんの。ヒトダマのおかげで俺はダンボールマラソンしなくて済んだんだしさ」
ヒトダマの立てた作戦とは。
「スネークみたいにダンボールをかぶって突撃しようか」というNATに、「裸いでんくんの着替えを取りに来たって言えばいいじゃないですかぁ」と提案したのだ。
NATもこの提案にはすぐに賛成し(自分の体力のなさを分かっているのでダンボールマラソンには自信がなかった)、正体不明のヒトダマはぬいぐるみということにしてまんまと警官たちを欺いた・・・というわけだ。
ヒトダマ「でもぉ・・・もし家宅捜査されてなかったら大変だったんじゃないですかぁ?」
ヒトダマが目だけを動かし、壁に設置してある監視カメラを見上げる。
恐らく、家宅捜査のために一時的に敷地内のセキュリティをoffにしているのだろう、監視カメラが動いている気配はない。
もっとも、動いていたとしても自他共に認める「デンパな人」ことNATが片っ端から沈黙させただろうが。
NAT「けど広いね〜さすがスネークの実家というか」
これだけ広いとマップが欲しいなぁと呟きつつ歩くNAT。
NAT「どっかにノードか何かないかなぁ・・・」
ヒトダマ「そうですねぇ〜、何かあってもいいかもしれないですねぇ」
のほほんと、なぜか誰もいない廊下を進んでいくうちに。
二人は、とあるドアの前で立ち止まった。
NAT「えーと・・・」
そのドアだけ、周囲のごつい雰囲気とは似つかわしく真っ赤なペンキで殴り書きがしてあった。
ヒトダマ「・・・えーと・・・液体蛇's Room Keep OUT! ・・・だ、そうですよぉ」
 
(Aパート終了)
 
かなり端折って液体さん部屋に来てしまいました。
Bパートはも少し待て。

少林サッカーのせいさ・・・ 投稿者:日向@眠い
 
遅くなりますた・・・
だって10日はだーりん(吐血)に生DVD-RとFlashのASサンプル集買ってもらってたんだもん(蝶・惚気)
  ↑買ってくれた本人はかなり複雑な心境だったらしい・・・すまん
 
(Bパート)
「液体蛇's Room」と書かれたドアを前に、しばし呆然とする二人。
ヒトダマ「ど、どうしますかぁ?」
NAT「いくらなんでもリキッドの部屋に資料は無いと思うんだけどね・・・」
元がソリダスのファイルなら、恐らくはソリダスの部屋の中にあるか・・・とも一瞬、考えたがすぐに考え直す。
あのアーセナルステージの件はかなり重要な機密事項のはず。
家宅捜査に押し入られて真っ先に調べられるのが彼の部屋だろうということを考えると、あの元市長だから別の場所に資料を隠しているということは想像が付く。
NAT「・・・けど、リキッドもPCくらい持ってるだろうしらんこーもつながってるだろうからアクセスしてみるかな」
ヒトダマ「だ、大丈夫ですかぁ?」
ヒトダマが心配しているのは、当然セキュリティ面のことではない。
NATのことだから何をしでかすかわからない、という意味での「大丈夫ですかぁ?」なのだが。
NAT「だいじょーぶ、だいじょーぶ。セキュリティなんて俺の前には無意味だって〜」
そういいつつ、NATが液体さんの部屋のロックに指を添える。
3秒後、ロックが解除される。
NAT「んじゃ、液体さんのお部屋拝見〜」
小さな音を立てて、液体さんの部屋のドアが開いた。
 
一歩、部屋に踏み込んだNATが呆然とその場に立ち竦む。
ヒトダマ「・・・ほにゃぁぁぁ・・・」(ぽて)
NATの手からポロリとヒトダマがこぼれ落ちる。
NAT「な、何コレ・・・」
わずかに上ずった声でつぶやき、後ずさるNAT。
ヒトダマ「・・・はうっ・・・」
NATの足元で、瞬時にMPを吸い取られたヒトダマが目を回していた・・・
NAT「あ、ひ、ヒトダマっ!」
あわてて駆け寄り、ヒトダマを抱えあげる。
NAT「ちょっと、しっかりしてよ!」
ヒトダマ「・・・(きゅぅ〜)」
腹(?)の辺りをわさわさと揺さぶってみるも、ヒトダマは目を覚ます気配が無い。
んもう、とNATは舌打ちし、今度はがし、と尻尾を掴んだ。
NAT「いつまで寝てるのさ〜〜〜〜!!!!」
ヒトダマ「うきゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
液体さんの部屋に、ヒトダマの絶叫が響き渡る。
・・・どうやら、「固体さんがした時よりもひどいこと」をやらかしたらしい(くす)
ヒトダマ「うえぇ・・・NATさぁん・・・やりすぎですぅ〜」
伸びきり、よれよれになった尻尾をさすりさすり、ヒトダマが涙目で抗議した。
NAT「あはは・・・(汗)ごめん、ごめんって」
まさかこうなるとは思わなかったよ、と手を合わせて謝るNAT。
NAT「けど・・・これは、すごいね・・・」
ぐるりと部屋の中を見渡しながら、NATが呆れたようにつぶやいた。
 
次回「遭遇」
ネタはあるんだけど1話(2回投稿)じゃ終わりそうに無いのでここで止めました。
ヒトダマ変身させてなくてごめんちょ。

言い訳は後ほど 投稿者:天麒麟@たはは(汗
 
「遭遇」……してるよーなしてないよーな。
 
(Aパート)
二人が液体さんの部屋で見たもの。それは……
NAT「すごっ……これってもしかしてぜーんぶスネーク?(汗)」
ヒトダマ「はうぅ……どう見てもそうとしか……(汗×2)」
元々はそれなりの広さを誇る部屋なのだろうが、幾つもの棚に仕切られているせいで狭く感じられる。
しかもその棚に陳列されているのは……なんとフィギュアを始めとした「ソリッド・スネーク」グッズであった。
しかも、僅かに残った壁面にも、固体さんのポスターやピンナップがびっしりと貼られている。
つまりここは、液体さんの「固体兄貴コレクションルーム」なのだ。
ヒトダマ「でもこれ、本物の固体さんじゃないですねぇ」
ポスターを見つめていたヒトダマが指摘する。
NAT「うーん、多分、映画かドラマ版のポスターなんじゃない? つまり、スネーク役の俳優だろ」
ヒトダマ「はー……固体さん絡みのモノは何でも集めてるんですねぇ……うひゃあ、こっちはアニメ版だ! この固体さんもかっこいいなあ〜〜」
NAT「ヒトダマの世界にもさ、スネークのグッズってあるんじゃないの?」
物珍しげに陳列されたフィギュアやらロゴ入りグッズの類を眺めながらNATが尋ねる。
ヒトダマ「はあ……ありますけどね、こんなに沢山じゃないですよぅ。人気も評価も高い作品だけど、まだ映画やアニメにはなってないですしー……ほにゃ?」
棚の間を漂ううち、何かを見つけたらしい。怪訝に思ったNATが、棚を回り込んで声のしたところへ向かった。
NAT「どしたの?」
ヒトダマ「NATさん、これって……」
ヒトダマの見つけたもの。それはあまりにもこの場にそぐわないものであった。
NAT「………ウェディングドレス?(汗)」
純白の生地にたっぷりとレースやフリルをあしらったそれは、どこからどう見てもウェディングドレスにしか見えない。
NAT「なんでこんなもんが……」
ヒトダマ「てゆうかNATさん……なんかこれ、サイズが結構大きいような気がするんですけどぉ……」
確かに。
女性用にしては肩幅やウェストのあたりに相当余裕があるようだ。比較的上背のあるメリル程の体格の女性でもまだサイズが合わないだろう。
とすると……。
NAT「もしかしてこれ………」
ある可能性を思いついたNATの顔が引きつる。
NAT「……………………スネーク用………??」(汗)
ヒトダマ「…………はうっ(ぽてん)」
その一言に、不覚にも「固体さんのウェディングドレス姿」を想像してしまったヒトダマが、再び人事不省に陥ってしまった……。
 
屋敷を静かに、しかし鋭く見つめる眼差しがあった。
彼の持つ無線機が鳴る。かけてきたのは……何と固体さんだ。
固体さん〈俺だ。……あいつらはどうした?〉
???「ああ、さっき中へ入っていった。なかなか堂々としたもんだな」
声音に、微かにからかうような響きが含まれているが悪意はないようだ。
固体さん〈堂々としすぎているのが一番厄介なんだが……それにしても悪かったな。妙なことを頼んで〉
???「なに、同業のよしみだ。それにどうせ今日は休園日だからな……。しかし、あの二人に何か問題でもあるのか?」
固体さん〈ヒトダマはまあ問題ないだろうが、NATは何をしでかすかわからん。何事もなく出てくればよし、さもなくば……〉
???「やれやれ……難儀な連中を拾ったもんだな」
苦笑しつつ、停めてある愛用のモノサイクル「ロードランナー」に軽く寄りかかる。
癖の強いプラチナシルバーの髪に、一瞬日の光が鮮やかに降り注いだ。
 
NAT「全くもう……しっかりしてよ」
ヒトダマ「うう〜〜、ちょっと刺激強すぎですぅ〜〜(いろんな意味で)」
意識は取り戻したものの、更にのびのびよれよれになった尻尾をさすりつつ涙に暮れるヒトダマ。
NAT「何でこんなことくらいでいちいち失神すんのさ」
若干呆れ声のNAT。
元AIで人間になりたての彼女にはまだ「ファン心理」(ある意味恋愛感情に近い)の複雑さが理解できていないのだ。
NAT「さっさとしようって言いながら足引っ張ってるの、ヒトダマじゃん……あ、あった」
ぶつくさ言いながらも、部屋の隅に端末が置いてあるのを見つけ、その前に座る。
NAT「さーて、目的のファイルはあるかな……ん?」
電源を入れ、ファイルメニューを立ち上げたNATの眉が、険しげに顰められた。
NAT「何コレ……」
それと同時に、ヒトダマもまたあるモノを見つけていた。
(Aパート終了)

PMG-Sトップページ次へ進みます