過去ログ(No.161〜170)
  
がんばったよ 投稿者:天麒麟
 
(Bパート)
ディスプレイに映し出されたのは、この部屋に収蔵されたコレクションリストだった。
NAT「この端末ってひょっとして……コレクション管理専用?」
慌てて端末の裏側を覗いてみる。
NAT「あー、らんこー繋がってないー……」
それでもひょっとしたら隠しファイルでもないかと弄ってはみるが、入っているのはコレクション管理ファイルとそれに付随したデータばかりで、目当てのファイルらしきものは影も形も見あたらない。
うーんダイブして徹底的に探してみるかないやでも他の端末当たった方が早いかも……とNATが思案に暮れたその時。
ヒトダマ「NATさんNATさぁん」
懲りずにコレクションの間を彷徨っていた筈のヒトダマが何かを手にふよふよと近づいてきた。
NAT「何? なんかレアなアイテムでも見つけたの?」
ヒトダマ「いーえそうでなくてぇ……これなんですけど」
ヒトダマが差し出したのは、白地に銀色のロゴという、実にシンプルなパッケージのゲームソフトであった。
NAT「『メタルギアソリッド』……? ああ、これがヒトダマが言ってたスネークの登場するゲームってやつか。これが、どうかした?」
ヒトダマ「おかしいんですよね……何でこれがここにあるのかなーと。私、お洗濯の時にをたこんさんとちょっとお話したんですけど、その時をたこんさん、「スネークや僕が出てるっていうゲーム、やってみたいね」って……」
NAT「ちょっと待って。てことはをたこんは、このゲームをプレイしてない、それどころか存在も知らない……ってこと?」
をたこんという男の性格から言ってそれはあり得ない。
しかしもし、この「世界」にそういうゲームソフトがもともと存在しないのならその発言も頷ける。
とすると、このソフトはどこから来たのか。
ヒトダマとNATは思わず顔を見合わせた。
二人「……コペルソーン・エンジン?」
???「その通りだ」
突如響き渡った声に、二人は文字通り飛び上がった。
見ると、ちゃんと閉めた筈のドアが開かれ、誰かが仁王立ちでこちらを睨め付けている。
革製のごついロングコート。胸元にはドッグタグ。無造作に長い金髪を背に流してはいるがその顔立ちは固体さんと寸分違わない。
NAT「……リキッド」
苦い表情で呟くNATの傍らでヒトダマが「ほえぇ、ホントに固体さんそっくりですぅ(汗)」と緊迫感のない声を上げた。
 
唐突に、固体さんの無線機が鳴った。
ヒトダマ&NATの動向監視を依頼していた男からだ。
固体さん「……どうした。何かあったのか?」
???〈いや何……お前の実家のブラインドは変わっているな〉
固体さん「?」
???〈スチール製かチタン製か知らんが……かなり遮光率が高そうだ〉
その言葉に、固体さんの口調が変わる。
固体さん(焦)「ちょっと待て……そいつは緊急用の防犯シャッターだ!」
有事の際には、全ての窓、外扉に防犯シャッターが降りるようになっているのだ。
固体さん「警察はまだそこにいるか?!」
???〈ああ、まだいるな〉
天然とも余裕ともつかない調子で、飄々と男が返す。
警察がいるのならセキュリティシステムはまだオフになっている筈だ。にも関わらず防犯シャッターが降りたとなると……。
固体さん「何かあったに違いない……ランダム!」
???〈任せておけ〉
静かに応えると男……ランダム・ハジルはロードランナーを発進させた。
 
NAT「ふぃ〜っ、吃驚した〜! いきなりリキッドと鉢合わせだもんなあ」
ヒトダマ「ほにゃああ、一時はどーなることかと(汗)」
あの後、一瞬の隙をついてヒトダマが液体さんに電撃系中魔法「プリズミック・ミサイル」を浴びせ、彼が痺れているうちに逃げ出してきたのであった。
NAT「けどこれでリキッドがコペルソーン・エンジンを弄ってたってことがはっきりしたね。後は何とかしてファイルを探し出して……」
ヒトダマ「……けど私達、何だか閉じこめられたっぽくないですかあ?」
廊下の外側の窓には全て頑強なシャッターが降りていた。おそらく液体さんが作動させたものだろう。
NAT「ま、それは何とかなるよ。リキッドが警察の目盗んで入ってこられたってことは、どっかに外に繋がる出入り口があるってことだしそれに」
ヒトダマ「それに?」
NAT「さっきの端末に、この屋敷のマップがあったんでDLしといたんだ」
これで動きやすくなるね、とNATがにんまり笑った。
 
うろうろする警察を押しのけるようにロードランナーが疾駆する。
目の前には今まさに降り切らんとする正面玄関のシャッターが。
ランダムはいきなりブレーキをかけるとロードランナーの車体を地面すれすれに倒してスライドさせ、シャッターと地面との間に残された僅かな空間をすり抜けた。
間一髪。銀髪が隙間を抜けきった瞬間、重々しい音と共に分厚いシャッターが地面に食い込んだ……。
 
次回、「邂逅」 ……新キャラ登場か?

邂逅…? 投稿者:はやた
 
ロードランナーが分からなかったので、想像で書きました。
 
(Aパート)
固体さんが無線機の回線を開けようとして ハタと思いとどまり、携帯を取り出し「戦友」と書かれたリストにある一人の人物に電話をかける。
固体さん(いればいいんだが…)
一回、二回・・・・三十回目のコールで 相手はやっと出た。
???"…誰だ?" 不機嫌そうな声が響く
固体さん「頼みたいことがあって……」
???"…了解。やってみるよ じゃあな"
電話が切れる。と、立て続けにランダムに無線を入れた。
固体さん「ランダム?あの人に連絡しておいた。気を付けてくれよ?」
ランダム"了解っと うわ!"ブチン
 何があったのかは予想がつくが、固体さんは、競馬新聞と赤鉛筆を取り出し ラジオたんぱに目盛を合わせた。(おい!)
固体さん(ま、ランダムとあの人だったら大丈夫だろう)
 
NAT「なんかこの家、迷路みたいで 無駄に広いなぁ」
ヒトダマ「あのぉ、なんですかこの『ジャックの マル秘 メモリー日記の部屋』って…」
NAT「…聞かなくても分かると思うけどさ、ソリダス関係の部屋だろ?」
ヒトダマ「だって怪しいネーミングだから、聞きたくなっちゃったんですぅ。でも、固体さんの部屋が離れだったなんて…」
NAT「俺もこんな変な屋敷に住みたくないよ。離れで暮らすの分かる気がする。」
……かれこれ23分と46秒、二人はこの広大な屋敷を 地図を持っていながら迷っていた。隠し扉のようなものも見当たらず、出口も近づいているはみたいだが ど〜も怪しく、家宅捜索に来ているはずの警官たちにも会うことはなかった。
NAT「…迷った?」
さっきから 後ろをフワフワとついてくるヒトダマに振り返ってたずねる。すると、ヒトダマの腕の中には リキッドの部屋で見た『メタルギア ソリッド』が大事そうに抱えられていた。
NAT「な、な、何持ってきてるんだよー!!
NATの絶叫が響き渡る。
ヒトダマ「だだだだって、咽から手がでたんですぅ」
NAT「だからって 持ってくるなー!リキッドが気づいたら、殺されるよ!返してこないと」
ヒトダマ「それは勘弁ですぅ」
逃げるヒトダマをNATが追う。
NAT「何で逃げるんだよ!」
ヒトダマ「体が勝手にぃ」
廊下がT字にクロスする右手側からエンジン音が近づいてくる。突き当たりに飛び出した二人の目の前にロードランナーの影が目に入った。
NAT&ヒトダマ「!!!?」
ランダム「っぶないなぁ」
いきなり彼の目の前に飛び出してきた二人を轢きそうになったのだ。
ヒトダマ「ご、ごめんなさい、大丈夫ですかぁ?」
後ろから、バラバラと足音が近づいてきた。
ランダム「早く乗れ!」
ほにゃ?っとする二人にあわてた顔で怒鳴った。
ランダム「早く!!」
二人が乗ると、ランダムはロードランナーを発進させた。と、怒鳴り声がして、車体の周りを弾が飛び越していく。
ヒトダマ「これが本場(?)の カーチェイスですねぇ。」
ランダム「余裕だな。っと」
ロードランナーがいた辺りにパンツァー・ファウストが着弾する。それを撃ったのは、ビリビリに痺れて伸びているはずのリキッドだった。
リキッド「おーれーのー ソーフートーをーかーえーせぇー」
NAT「ゲェ!もう復活してる」
ヒトダマ「それにしても よく壊れませんねぇ、このうち。」
ランダム「そっちかい! !?」
「無視するな!」と言いかけたリキッドの足元が膨らみ、すさまじい音を立てて、爆発を起こした。リキッドの体が舞い上がり、天井にビタンとたたきつけられ、今度は勢いよく床へと降ってていった。と、NATの手の中に リキッドが持っていたパンツァー・ファウストが落ちてきた。ランダムはその隙を逃すはずもなく、少しでも遠くにへと 逃げを開始した。
ヒトダマ「ほえぇぇ、パンツァー・ファウストでも壊れない家が壊れちゃいましたぁ。」
NAT「でも、何であんなところが爆発?」
ランダム「多分…ミラー伍長だな。ファットマンですら、一目置いている男だ。」
え?っと顔を見合わせる二人を尻目にランダムは続けた。
ランダム「ほとぼりがさめるまで 少し隠れてられるところはないか?」
 
煙と瓦礫の中から 大きなリュックと 少し型遅れの無線機、それにサプレッサー付のMP5を持った やせっぽっちで、背丈のひょろ長い男が出てきた。拳銃を構えている警官達に、マイペースな口調で話し出す。
???「おおっと、撃つなよ?撃っちゃうとドカン!みんなで仲良くあの世行きだ。」
ニタリと笑うと、ポケットに突っ込んでいた左手が素早く動き、ピンが外れた手榴弾が投げられる。
すぐに すさまじい音と閃光が溢れ、スタングレネードが爆発すると、警官たちはバタバタと倒れていった。
???「さて と……」
男は床で伸びているリキッドを見下ろし取り出した煙草に火をつけた。

やっぱり、邂逅…?だと思う 投稿者:はやた
 
言い訳なしで、アムロ いっきまーす!
 
(Bパート)
ロードランナーが停まり、とあるファンシーな作りの扉の前でランダムはため息をついた。
ランダム「本当にここか?」
少しの間、隠れていられる場所と言ったのだが、それがこの部屋なのか?という雰囲気が漂ってきた。
ヒトダマ「はい、ここですぅ。裸いでんのお部屋は、隠れるのにはおあつらえ向きなんですよ」
まあまあ入りましょ。と「メタルギア・ソリッド」を持ったヒトダマに促されながら扉を開ける。
ランダム「!!!!?」
そこには、「千と千○の○隠し」の坊の部屋そっくりな空間があった。
NAT「な、ここなら あの乗り物も隠せるし 隠れるにはピッタリさ。」
ヒトダマ「クッションの山に隠しましょう。」
その時、ランダムの無線がなった。
???"リキッド捕まえたぞ。今はどこだ?"
ランダム「お久しぶりです、ミラー伍長。とある部屋にいるんですが…」
???"了解 すぐに行く"
あんまり来てほしくないと思いつつも、屋内戦ならミラー伍長がいるほうがいい。と、部屋を見まして ヒトダマとNATに対してため息をついたランダムだった。
 
ミラー「やあ、リキッド。おそよう」
目を覚ましたりキッドは、自分が縛られていることに気付いた。縄はびくりともせず、ミラーを睨むしかなかった。
リキッド「貴様ぁ」
ミラー「煙草でも吸うか?暴れれば あれ、ばらまいてもいいんだぞ?」
ぐっと詰まるリキッドを尻目に、あくびを一つしてミラーは続ける。
ミラー「お前には喋って貰う事がいっぱいあるんだ。上等のスポコラミ(自白剤)もある。もちろん、デイブの前でな。」
よっこらせと立ち上がり、リュックの中から注射器と薬の入ったビンを取り出した。
リキッド「な、何をする気だ!!」
ミラー「俺にも好みはある。心配しなすんな、ただの眠り薬さ。」
腕に針が刺さり、十秒ほどするとリキッドは眠りの世界に落ちていった。
ミラー「さってと。まぁ、持って行くとしますか」
重そうなリュックを背負い、MP5のショルダーをかけると 眠るリキッドの足を持って引きずり、歩き出した。(ひでえ)
 
ランダム「これ、結構気持ちいいなぁ」
ヒトダマ「ですねぇ。」
クッションの山に埋もれる天然な二人に、NATは冷たい視線を送る。
NAT「二人とも余裕だね。」
ランダム「余裕じゃなくて、伍長が来るまでの一時の人生を楽しんでるだけだよ」
NAT&ヒトダマ「え……」
固まる二人。
ランダム「どうした?」
NAT&ヒトダマ「な、なんでもないです。」
NAT「そんなにやばい人なのか?」
ヒトダマ「ランダムさんの言い方だと、そんな気がします。」
こそこそ声で話す二人に シ!と制したランダムは、扉へと張り付いた。誰かが近づいてくる。伍長に違いないのだが、念には念を入れる必要がある。伍長に無線をかけながら、声を張り上げた。
ランダム「"ボーフォード提督?"」
ミラー「"今釣りだ"」
無線と外の声がダブって聞こえる。ランダムは扉を開けた。
 
ヒトダマ「はじめましてぇ、素敵なおじ様だとは思いませんでしたぁ。」
ミラー「そりゃまたどうして?」
NAT「だってさ、ファットマンの爆破仲間って聞いたからさ。」
はははと笑うミラーは何気に、ヒトダマの尻尾をムズンと掴んだ。
ヒトダマ「いやあああぁぁ!」
ミラー「悪い悪い、掴みやすそうだったから。」
ヒトダマ「掴んでいいのは、個体さんだけですぅ!」(え?)
ランダム「ところで伍長?」
ヒトダマとNATには悪いと思いながらも、ランダムは切り出した。
ランダム「リキッドはどうするんですか?もし暴れだしたら…」
ごそごそと懐を探ったミラーは、何かを三人に渡した。
ミラー「この写真を持ってりゃぁ 大丈夫さ。」
それには、3歳らしきリキッドが、笑う固体さんの隣で泣いておねしょ布団が写されていた。
ミラー「まだまだあるぞぉ…」
ヒトダマ「小さい固体さんの写真はないんですかぁ?」
ヒトダマと意気投合のミラー。横で唖然となるNATとランダム
 
出会いは、違う方向に行っていた…
(これ、おち?終わり!?)
 
次回、「まさか?裸いでんの部屋は!?」編。お楽しみに!(逃げた!!)

かなり無茶やってます 投稿者:日向@不安
 
さて、さくさくいきますかな。
RPGツクール2003での作業もひと段落(デモ版完成:1ステージのみ)ついたし。
ただ、本サイト「MGS」の復活が延期になりそうです。
(とある「荒らし依頼掲示板」みたいなところでウチを荒らすとか何とかの話が・・・)
・・・移転するか。
 
「まさか?裸いでんの部屋は!?」
 
(Aパート)
すっかり意気投合のヒトダマと伍長。
伍長が懐から取り出すマル秘写真の数々にヒトダマはというと・・・
ヒトダマ「ほにゃっ!こ、これはっ!!!!」(ぽて)
何度か床に墜落、そして浮上を繰り返しながら写真を手に取り、眺めていた。
ヒトダマ「いいなぁ〜この"二人でおねしょ"の写真くださいよぉ〜」
伍長「あ〜それは俺も気に入ってるから駄目だ」
ヒトダマ「そこを何とか〜」
・・・・・・・・・・・・・
すっかり呆れて二人から視線をはずしたNAT。
と、これまた呆れて二人を見ていたランダムとばっちり目が合う。
NAT「ええと・・・」
つんつん銀髪にごついジャケットを羽織ったランダムを前に、NATがぽりぽりと頬をかく。
ランダム「お前がNATか?俺はランダム。ランダム・ハジルだ」
そういえば名乗ってなかったなとランダムがそう名乗ると。
NAT「・・・うん・・・名前は知ってるというか前にいたところでそういう名前の人がいるってことだけは知ってたから。でもそうじゃなくて・・・そんなに寒い?」
気候としてはそんなに肌寒い・・・どころかもうすぐ夏、のやや暑いぐらいのところへもってごつくて暖かそうなジャケットを羽織っているランダムが気になったようである。
ランダム「・・・っ!そ、そんなことはどうでもいいだろう!」
NAT「確かに、どうでもいいか。敵でもなさそうだし・・・」
で、あの人(伍長)はダレ、と首をかしげるNAT。
NAT「あっちも敵じゃなさそうだけど敵に回すと怖そうだし、データが全然なくて」
ランダム「ああ、伍長か?ミラー伍長、ファットマンといい勝負してるそうだ」
NAT「ということは10歳で原爆仕上げた?」
ランダム「そこまでは知らん」
というかそれはファットマンのほうだと続けつつ、ランダムはえっとNATを見た。
ランダム「俺のことは知っていて、伍長のことは知らなかったのか?」
うんとうなづくNAT。
NAT「いくら俺でも全部のデータを見ることはできないよ。セキュリティはフリーパスみたいなものでも全部を見るには何十年も掛かるし、新しいデータだってどんどん増えていく。俺は俺が興味を持ったデータしか見てないからね」
ランダムの場合は「スナッチャー」ってゲームのデータで存在だけは知ってたけど、と続けるNAT。
ランダム「俺が・・・ゲームのキャラだと?」
ヒトダマ「あ〜私、持ってます〜♪ MSXとPSとSSとPC、パイロット版で出てるんですよ〜」
NATとランダムの会話が聞こえたか、ヒトダマが一瞬だけ振り返って解説してくる。
ランダム「そ、そうなのか・・・」
NAT「詳しいことは後でヒトダマに聞いたら?」
ランダム「・・・い、いや遠慮しておく(汗)」
固体さんから「ヒトダマに自分たちのことを語らせるとえらいことになるから気をつけろ」と言われていたことを思い出し、ランダムは首をぶんぶんとふった。
ランダム「しかし・・・にわかには信じられんな」
NATを見ながら、ランダムが呟く。
NAT「どういうことさ」
ランダム「お前が元AIってことだよ」
NAT「人のこと言える立場?」
たった一言だが微妙にきつい一言。
殆どの人に知られていない秘密を初対面のNATに知られていた、ということがランダムには少々ショックだったらしい。
ランダム「言える立場じゃない、ってか。結構きついこと言ってくれるな」
NAT「伊達に元AIやってないよ」
と、いうよりも自分でもまだ信じられないんだけどねと一言、続ける。
ランダム「お前も大変だな」
NAT「ヒトダマに比べたらマシだとは思うよ」
そう言うと、NATはぐるりと部屋の中を見回した。
 
NAT「・・・それにしても・・・ほんと、この部屋ってすごいね〜」
やっと落ち着いたか、NATが手近なクッションの山にぽふっと倒れこんでみる。
それと全く同時に、ヒトダマがなにやら怪しげなスイッチを見つけていた。
ヒトダマ「ほみゃ?なんなんでしょうねぇこのスイッチ・・・ポチッとな♪」
ガコン。
NAT「のぅわぁぁぁぁぁあぁ?!」
ランダム&伍長「NAT?!」
ヒトダマ「ほにゃ?な、NATさぁん?!」
突如、沈み始めたクッションの山に慌てて飛び起きようとするNAT。
だが、大量に詰まれたクッションに足を取られ、上体を起こそうにも手も隙間に埋まり、でなすすべもなく。
NAT「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・!!」
まるで流砂に飲まれるかのように、NATの体がクッションの中に消えていった・・・
 
(Aパート終了)
 
てかヒトダマ・・・怪しいスイッチは押すなよってことで(苦笑)

暴走中・・・ 投稿者:日向@あぁぅ・・・ 
 
(Bパート)
 
NAT「うわぁぁぁぁぁ・・・・!!」
クッションに埋もれ、落ちていくNAT。
・・・と。
ぼふっ。
思っていたよりも早く、床らしき場所に転落した。
しかも、先に落ちた大量のクッションのおかげで痛くもなんともない。
が。
ずどどどど・・・
NAT「・・・のあっ!?」
後から降ってきた大量のクッションに、生き埋めにされてしまう。
ヒトダマ「あぁぁぁ・・・NATさぁん・・・!!」
ぽっかりと開いた穴から、ヒトダマがふよふよと降りてきてクッションを掻き分け始めた。
ヒトダマ「NATさぁん・・・死んじゃだめですぅ〜」
ヒトダマがクッションを掻き分けて数分。
ようやくクッションの隙間からNATが顔を出した。
ヒトダマ「NATさぁん、ごめんなさいぃぃ〜」
伍長「お〜い、生きてるか〜」
上の穴から、伍長の顔がひょっこりと覗く。
NAT「生きてるよ〜」
よっこらせとクッションの山から這い出したNATが天井の穴を見上げ、ため息をつく。
NAT「あーあ・・・この高さだと上れないなぁ・・・」
ヒトダマ「私が持ち上げられたらいいんですけどねぇ・・・」
同じように天井を見上げながら、ヒトダマがぼやく。
NAT「・・・あ、そっか。 ミラー伍長、ロープ持ってない〜?」
伍長「あー、リキッドを縛るのに使ってしまったからな」
のんびりした伍長の声に、NATが小さくため息をついた。
ロープで引っ張り上げてもらおうと思ったのに、それが無理なら・・・
NAT「う〜ん・・・出口を探そうかなぁ」
ランダム「あ、それはやめとけ。万が一のことになっても助けられん」
とりあえずロープの代わりになるものを探してくるからお前はそこで待ってろ、とランダムが続けると、NATが少々不満そうに頷く。
NAT「でもなんでこんなところに・・・裸いでんも危ないところに住んでるんだなぁ・・・」
少々呆れ気味のNAT。
とりあえず何かめぼしいものでもないか、助けがくるまでこの部屋の中を調べてみようかなと立ち上がる。
NAT「それにしてもすごいクッションの数だよね〜」
ヒトダマ「そうですねぇ・・・ぱぱさんの趣味でしょぉか?」
クッションの山にばふっと墜落してみたりするヒトダマ。
ヒトダマ「ふわぁ・・・面白いですぅ・・・」
NAT「あー危ないよ・・・もし崩れたら・・・」
ぐらり。
ヒトダマ「あ〜れ〜・・・・」
・・・言ったそばから、だ。
遊んだおかげで山は崩れ、見事な雪崩となってヒトダマを押し流していき・・・
NAT「・・・あれ・・・?」
消えたヒトダマのほうを見たまま、不思議そうにNATが呟く。
自分が床だと思っていたところからさらに下へ、ヒトダマが落ちていったのだ。
しかもクッションが落ちたらしき音が響いたのはかなり経ってから。
NAT「・・・まさか・・・」
頭の中で素早く計算する。
クッションの落下速度(重力の影響による加速も考慮)と落下を始めてから落ちるまでの時間から距離を割り出し・・・
NAT(まさか・・・約14b?!)
ということはまさか・・・
ヒトダマ「ほにゃぁぁぁぁぁっ!!な、NATさぁん!!」
ものすごく慌てた様子でヒトダマが浮かび上がってくる。
ヒトダマ「大変ですよぉ!今NATさんが立ってるところなんですけどぉ・・・」
NAT「メタルギア"RAY"の頭の上・・・」
誰かは分からない。が、裸いでんの部屋の真下にRAYの格納庫を作っておくとは。
NAT「確かにここなら捜査の手も伸びにくいのかもしれないね」
なんて考えだ、とNATが少々感心したような声を上げた。
NAT「なら話は早いや」
ヒトダマ「何をするつもり・・・ま、まさかNATさぁん!それはまずいですぅ!!」
NATの企みを素早く察知し、ヒトダマが制止に入る。
だがそれで聞くようなNATでは当然なく。
NAT「俺の考えが正しかったら、RAYに"コペルソーン・エンジン"が搭載されているはずなんだ」
ヒトダマ「ほにゃっ?!」
NAT「"コペルソーン・エンジン"は高性能のスパコンでもあるんだ。しかもサイズはデスクトップPCの本体以下、数台並列させればものすごい処理能力だよ」
そう言ったNATの足元にコクピットの入り口が姿を現す。
コクピットに飛び込み、イグニッションを解除、搭乗者コードを聞かれるよりも早くシステムを書き換え、自分をパイロットとして認識させる。
目の前のスクリーンに、システムの起動画面が表示された。
NAT「やっぱり・・・搭載してるよ」
システム管理のためのキーボードを引き出し、指を走らせながらNATが呟く。
NAT「ここからなら・・・バックアップデータのDLができるな・・・ヒトダマ、俺はしばらく動けないから回りの警戒よろしくってランダムと伍長に伝えといて!」
どこからともなくケーブルを取り出し、RAYと自分のうなじにプラグを差し込む。
最後にいくつかのキーを叩くと、NATの意識はネットワークの海に沈んでいった・・・
 
次回「善悪の彼岸」
とうとう微妙なものが混ざってきたような気がしますが「気にしなけばいいんじゃないか?」ということで。

『善悪の彼岸』 投稿者:天麒麟
 
えらく哲学的なタイトルですなあ……(汗)。
 
(Aパート)
伍長「はあ? システム内にダイブしたぁ?」
大慌てで穴蔵から浮上してきたヒトダマからことの顛末を聞かされたミラー伍長が、呆れた声をあげた。
ヒトダマ「そうなんですぅ。だから今NATさん動かすこと、できないんですよぅ」
ランダム「……なんだ、折角見つけてきたのに……」
わざわざ緊急避難用ロープを探しだしてきたランダムが小さくぼやく。
伍長「しかし、デイヴの予感、見事に的中だな」
ランダム「"NATは何をしでかすか判らん" ですか?」
ヒトダマ「元々それが目的でここに来たんですけどぉ……選りに選ってRAYにダイブなんて、なんかヤな予感がしますう」
ヒトダマがめそめそする。
伍長「あ〜、判ったから泣くな。取りあえずデイヴに連絡入れておくか」
夕食までには帰れないかもしれないからなぁ、と暢気に呟くと、伍長は無線機を取り上げた。
 
固体さん「……ちっ、また外したか」
ラジオたんぱからの中継を聴きながら悔しそうにそう呟くと、固体さんは赤鉛筆で手に持った新聞になにやら印をつけた。
固体さん「仕方ない、次のレースに賭けるか……」
手堅く本命狙っておけばよかったな……と思いつつ、新聞の「第21回ネオコウベ新聞賞エメラルドステークス」欄を指先で辿る。
予感は当たっても、予想はなかなか当たらないらしい(笑)。
 
伍長「……繋がらんな」
無線機のダイアルを弄って見るが、固体さんからの応答はない。
ちらりとランダムを見る伍長。しかしランダムもまた首を横に振った。
ランダム「おそらく電波障壁でしょう。シャッターが降りるのと連動しているようです」
ランダムの耳は、システムが発する超微細な「音」を捉えていた。人間ならぬ身である彼だからこそできる芸当である。
伍長「無線が使えんとなると、外界への連絡手段は有線しかなくなるワケだが……」
ヒトダマ「どうしましょう……液体さん起こして訊いてみます?」
伍長「う〜ん……ま、それは後からでもいいだろう。今はNATのバックアップを優先させる。ランダム、お前、できたよな」
ランダム「……そう来ると思いましたよ」
既にランダムは隠しておいたロードランナーを引っ張り出し、エンジンをスタートさせている。
伍長がリュックを手に、やっこらせと立ち上がった。
伍長「おおっと、こいつも連れて行かんとなあ」
部屋の片隅に転がされていた液体さんを無造作に担ぎ上げる。
伍長「ヒトダマ、悪いがちょっと荷物持っててくれや。おねしょ写真、抜くんじゃねーぞ」
ヒトダマ「そ、そんなことしませんよぅ〜〜」
ヒトダマにリュックを預け、液体さんを担いだままランダムとロードランナーにタンデム。
伍長「そんじゃ、行くか」
ヒトダマ「行くってどこへ?? え、ま、まさか」
毛足の長いカーペットを焦げ付かさんばかりの勢いでロードランナーが発進。
ヒトダマ「………マジですか?」(汗)
アクセルフルスロットルのまま、一気に穴蔵へダイブした。
 
ヒトダマ「んもう〜〜、無茶しないでくださいよぉ! コックピットにはNATさんがいるんですからあ〜〜!!」
穴蔵、もといRAYの格納庫に降り立った四人(?)。
伍長「めんごめんご。でもま、頭部分は掠っただけだし」
涙目で抗議するヒトダマに、伍長が悪びれた風もない口調で謝る。
ヒトダマ「はぁ〜、それにしてもバイクごと闇の中へダイブなんて、よくできますねえ」
ランダム「俺の目は赤外線でも補足可能だからな。この程度じゃ暗い内に入らん」
伍長「さっすがペトロヴィッチ博士謹製……はともかく、早速NATのバックアップに回ってくれ」
ランダム「了解」
ヒトダマ「あ、じゃあ私、電源スイッチ探してきますねー。暗いままもなんですから」
伍長「おう。そうしてくれるか」
仄かな光を発しつつ、ふよふよと漂っていくヒトダマ。と、いきなり伍長がその尻尾を掴んだ。
ヒトダマ「ほにゃああああああっ!」
伍長「弱点握って悪いけどよ……リュックは置いてけや」
ヒトダマ「ああう……それならそうと、口で言ってくださいよう(涙)」
人の悪い笑みを浮かべる伍長を恨みがましい目で見ると、ヒトダマはリュックをそっと床に置いた。
 
身軽な動作でRAYの頭部によじ登ったランダムは、開いたままのコックピットを覗き込んだ。
座席に座ったNATは、薄く目を半眼に開いたままぴくりともしない。
ランダム「無防備だな……自分の体をほったらかしにしたままとは」
溜息混じりに呟きつつ、NATのうなじを探って別のコネクタにケーブルを差し込み、自分の首筋と有線する。
通常視界の片隅に、電脳空間へとアクセスしたことを示すもう一つの画面が立ち上がった。
ランダム(さて……NATはどこまでいったかな……)
意識は半分現実世界においたまま、ランダムはNATの追跡を開始した。
(Aパート終了)

後半です。 投稿者:天麒麟
  
(Bパート)
程なくして照明がついた。自身が発光体であるヒトダマが電源スイッチを見つけるのは容易かったらしい。
同時に、今まで開いていた天井が閉じ始める。
照明と開閉スイッチが連動してんですねぇ、と戻ってきたヒトダマが言った。
伍長「ああ。しかし、セキュリティシステムと連動してないのは有り難い限りだな」
闇からいきなり解放され、少々眩しげに目を細めながら伍長。
その視線の先には、お決まりのようにガンカメラが数台設置されているが、セキュリティが死んでいるためどれも一様に項垂れている。
伍長「しっかし……あいつはいつもあんな感じなのか?」
ヒトダマ「あいつ……あー、NATさんのことですかぁ? う〜ん、私もお知り合いになってまだ1日くらいしか経ってないですけどぉ、一般常識が通用しないのは確かですねえ」
何しろ元はAIですからぁ、と溜息混じりにヒトダマが答えた。
伍長「善悪の判断より知的好奇心優先か。……つきあうの、骨が折れるだろ」
ヒトダマ「そんなことないですよぉ。私のために動いてくれているのも確かですし、とっても感謝してます。ただ、もーちょっと自分の体のこととか気にかけてほしいんですよねぇ」
結局それが心配であるがために、NATにくっついてるようなものだ。
伍長「デイヴから聞いていたが……お前、ほんっとにお人好しだなあ」
からかいとも賞賛ともつかない伍長の言葉に、ヒトダマはえへへと頭を掻いた。
ヒトダマ「そーいえば伍長さんて、固体さんやランダムさんとはどういったお知り合いなんですかあ?」
固体さんを本名の「デイヴ」と呼び、一匹狼である筈のランダムが敬語を使うミラー伍長という人が、ヒトダマにとっては不思議で仕方ないのだ。
伍長「デイヴとは以前組んで仕事をしたことがあってな。ランダムとは……まあ、ヤツが"生まれた"時からのつきあいというか……ほれ」
ヒトダマ「ほっ、ほにょおおおっ! こ、これはっ!!」
伍長「起動前の最終チェックを受けてるところだ。どうだ、レアだろ〜」
ヒトダマ「レ、レアとかってそんな問題じゃ……(興奮)」
伍長「ん? どした?」
ヒトダマ「後で、や、焼き増ししてくださいぃ……」
ひゅるるるる………ぽてん。
伍長「……おーい」
撃沈したヒトダマが何を見てしまったのか。それは諸兄のご想像にお任せするとしよう……(汗)。
  
ランダム「……何をやってるんだ? あっちは……」(汗)
電脳空間でNATを追跡しつつ、見るともなしに伍長とヒトダマを見ていたランダムが呆れ声で呟いた。
ごしょごしょと話していたかと思うと、伍長がヒトダマに何かを見せ……。
ランダム「……あ、落ちた」
拾う、というよりも尻尾を掴んでぶら下げる伍長。意識を取り戻したヒトダマがぶら下げられたままもがいている。
ランダム「ま、あの人にかかっちゃ、ヒトダマなんて玩具も同然だが……」
気の毒にと思いつつ(まさか墜落の原因が自分だなんて気づいちゃいない)、溜息とともに追跡に専念しようとしたその時。
ランダム「……ん?」
何か、おかしい。
NATはすぐ脇にいる。ちょっと離れたところには相変わらずヒトダマを玩具にしている伍長と伍長に遊ばれているヒトダマ。
ランダム「………リキッドは?」
確かロードランナーの側に転がしてあった筈だ。しかし愛車の側にその姿はなく……。
ランダム「伍長! リキッドがいない!!」
叫ぶのと同時に、電子機器が蘇ろうとしているのを察知した。
ガンカメラのLEDランプが作動状態を表すグリーンに変わり、項垂れていた機銃部分が微かな稼働音と共に頭を擡げる。
伍長の反応は素早かった。
片手はヒトダマの尻尾を掴んだまま、もう片手でMP5を構えて手近のコンテナの陰に走り込みつつガンカメラに向かって発砲。被弾した幾つかが再び沈黙した。
ランダム「伍長! ヒトダマ!!」
伍長「こっちは大丈夫だ! 気にせずNATを追っかけてろ!」
MP5のマガジンを交換しつつ、伍長。
ヒトダマ「あうう、びっくりしましたぁ………ほへ?」
機材の陰で微かな気配。丁度伍長サイドからは死角になっているがこれは……。
ヒトダマ「伍長さん、危ない!」
ヒトダマが機銃と伍長の間に割って入り、「ファイア・ランス」を放つ。
魔法から生み出された炎の矢が命中、ガンカメラが破壊される。
が。
ヒトダマもまた被弾していた。
かつん、と音を立てて眼鏡が床に落ちる。
咄嗟に伍長は片手を伸ばし、落下するヒトダマを受け止めようと……。
伍長「!?」
一瞬、目も眩まんばかりの輝きがヒトダマを覆い、消える。次の瞬間、伍長は伸ばした片手に柔らかな重みを感じた。
倒れ込んだものを見て、思わず絶句する。
極上の薄絹の衣装。金襴の飾帯。高く総角に結った長い黒髪。
それはどう見ても、あの白くてまん丸な「ヒトダマ」ではなかった……。
   
次回「リキッド狂乱」 ヒトダマついに生前バージョンでございまふ。

リキッド狂乱 投稿者:はやた
  
リキッドの狂乱は、実生活そのものの様な…
   
(Aパート)
リキッド「はっはっはー 俺様復活ー。」
嬉しそうに叫ぶ液体さんは いつの間にか制御室の中にいた。しかし、RAYに繋がっている奴等がいるので遠隔操作と言う訳にもいかない。液体さんはふと考えた。ここは退路がなかったのだ。固体さんグッツに埋もれた制御室で「実は墓穴を掘ったのでは?」と悩み始めたのだった。
   
伍長「おい、ヒトダマ!しっかりしろ!!」
腕の中に倒れ込んだ少女を揺さぶるが、ピクリとのしない。伍長は自分の目で見たものは信じるタイプなので、ヒトダマの変身(?)を気にしてはいなかった。そっとコンテナによりかからせ、ランダムへと話しかけた。
伍長「ランダム、そっちは大丈夫か?」
ランダム「ええ、いくらリキッドとはいえRAYに撃って来る様には設置しないでしょう。」
伍長は首を巡らせ周囲を見回すが、ガンカメラが邪魔で全体を見回す事はできなかった。
伍長「ガンカメラの位置は確認できるか?」
ランダム「2Mおきに一台ずつ。特に制御室に続く階段の前 2時と11時に15機ずつ。」
フム、と頷きつつ伍長はリュックから手榴弾とフラッシュハイダー付のSOCOMを取り出し、MP5を左手に持ち替えたところで ヒトダマが目を覚ました。
ヒトダマ「ほにゃあぁ あ、伍長さん無事だったんですねぇ。」
伍長「…その姿で その言葉使いは気が抜けるな」
ヒトダマ「あ、封印が解けてしまったんですねぇ。」
エヘヘと笑いながら頭をかくヒトダマを笑いつつ 伍長は落ちていた眼鏡を拾い、ヒトダマに渡した。
伍長「少し壊れちまったな。だが、助かった。ありがとうよ。」
頭をくしゃくしゃと撫でてやる。
伍長「デイヴの前では取んねぇほうがいいぞ、あいつぁ ロリコンだ。」
   
最終レースを聞き終えた固体さんは ホクホク顔だった。一枚間違って買っていた馬券の馬が買ってしまい、超大穴 百万馬券を手に入れてしまったのだ。
固体さん「伍長達が帰ってきたら 温泉でも連れて行くか…   へいっくしょん 風邪 か?」
鼻水をすすりながら呑気に呟く固体さんだった。
   
ランダム「伍長、正面12時の上のほうに人間による熱源を感知したんですが…」
伍長「ほう?」
ランダム「赤外線で見ると、どうもリキッドのようです。」
伍長「諒解 正面突破ねェ…」
と、伍長は服を引っ張られていることに気付いた。ちょこんと座ったヒトダマが伍長を見上げている。
ヒトダマ「あの 伍長さん、私に手伝える事ないですかぁ?」
そうだな、と呟きつつヒトダマを見た。
 その1,眼鏡をかけさせボール代わりにリキッドに投げつける
 その2,眼鏡をかけさせリキッドとの対決時に投げつける
 その3,リキッドに投げつける為眼鏡をかけさせる
伍長「…お前、何使える?」
ヒトダマ「えっとぉ、魔法系の攻撃とかですぅ。この姿の方がパワーが強いんですよお。」
伍長「分かった。俺が制御室に入ったらそのリュックを持ってきてくれ。で、隙あらばリキッドに電撃を食らわす。間違っても俺にするんじゃねえぞ。失神(おと)せ 俺が許可する。あ、写真は…」
ヒトダマ「抜きませんよぉ!」
チャフを投げ、爆発すると飛び出した伍長は 鮮やかにガンカメラを打ち落としていく。再装填するとともにチャフを投げ、を繰り返し ものの3分、固体さんですら5分以上はかかるだろう広さを征圧してしまい、制御室の階段を上り始めた。
ランダム「流石だな…」
ヒトダマ「ちょっとドキドキですぅ。」
あまりの手際のよさに二人とも言葉が出なかった。
しかし階段を上りきった伍長が壁へ張り付く間もなく入り口から伸びた手に握られる銃が火を噴いた。
ゆっくりと、まるでスローモーションのように後ろへと倒れる伍長。踊り場へと落ちていく。
ランダム「伍長――!!」
ヒトダマ「伍長さぁん!!」
リキッド「え?マジ…」
   
(Aパート終了)

リキッド狂乱だよ。 投稿者:はやた
  
(Bパート)
ヒトダマが一瞬にして制御室の前に移動する。
ランダム「瞬間移動?」
あのヒトダマがそんな能力を持っているとは思いもよらなかったのだ。
  
ヒトダマ「伍長さんの敵!!」
バリバリと電撃が液体さんへ走る。しかし、すぐにリキッドの笑い声が響く。
リキッド「ハッハッハー 効かんなぁ」
煙の中からリキッドがあらわれた。
ヒトダマ「ぃやあぁぁ――(悪趣味)!!」
またまた電撃が走るのだが、リキッドはビクともしない。電気を通さないラバースーツ、手にはアース線。
リキッド「二度も同じ手に引っかかると思ってたのか?」
腰を抜かしているヒトダマを軽々と掴みあげる。
リキッド「お前は人質だ。これでランダムも迂闊に手はだせんだろう?」
  
ランダム舌打ちをした。RAYに潜りながら機銃のセッティングをしていたのだがヒトダマが人質に捕られては手も足も出ない。NATの反応も見つけた。踊り場で伍長が動いたような気もしたが、NATを連れ戻すことに専念した。
  
リキッド「ソフトも取り戻せたし、五月蝿いハエも片付いた。後はRAYの自爆装置を起動させれば…」
ヒトダマ「そんな事させないですぅ!」
等身大固体さんに縛りつけられたヒトダマはラバースーツを脱いだリキッドに炎を飛ばしたのが、腐っても鯛 いとも簡単によけられてしまった。
ヒトダマ「そんなぁ」
リキッド「馬鹿にされちゃあ困る。俺だって…」
リキッドは入口から、ふいにダース・ヴェイダーのテーマやワルキューレの騎行を聞いたときに感じるあの恐怖が襲い、後ろを振り向こうとした途端、頭を ぐわし! と掴まれた。
伍長「リキッドぉ 貴様ぁ…」
リキッド「へっ?あ ご、ごちょ…」
伍長は半泣きになったりキッドを自分のほうへ向かせると、いきなり叫んだ。
伍長「歯ぁ喰いしばれおんどりゃあぁぁ!!」
怒りの鉄拳がリキッドのあごを見事に捉え、ヒトダマの隣に落ちた。
伍長「ヒトダマ 無事か!?」
急いで紐を解く。
ヒトダマ「何とか。それより伍長さん撃たれたんじゃ…?」
ああ、と言いつつ何だか今なら世界を滅ぼせるんじゃないかといった表情で伍長は続けた。
伍長「俺の大事な「2001年宇宙の旅」と「ナヴァロンの要塞」が入ってたおかげで助かったんだよ。でも なぁ…」
ヒトダマ(い、今声をかけたら 確実に殺されそうですぅ)
そんな二人の後ろをゴキブリ並に回復したリキッドが逃げようとしていた。
ヒトダマ「伍長さん、リキッドが!」
リキッドは舌打ちすると駆け出した。
伍長「ヒトダマ!!」
素早く落ちていた眼鏡をヒトダマに装着し、元(?)の可愛らしく浮かぶ姿に戻った所を引っ掴んでリキッドめがけ投げたのだ!
ヒトダマ「ほにょおおぉぉぉぉ……」(ドップラー効果でお楽しみください)
スコーン!!!
気絶するリキッドと痛みに苦しむヒトダマ。それを気にする様子もなくやって来た伍長はリキッドの懐から「メタルギアソリッド」を取り出し、自分の懐から写真を取り出すとヒトダマに渡した。
伍長「スマン これをやる。それと、 ごにょごにょ」
ヒトダマ「!!」ぷしゅう ポトン
伍長「ランダムの所に戻ってな」
ヒトダマ「あ あのお、伍長さんは?」
伍長「こいつに灸を据えてやる。」
背筋を凍らせたヒトダマを残し、ニタリと笑った伍長は制御室のドアを閉め、ロックをかけた。ヒトダマが戻る途中、リキッドのこの世のものとは思えない、あらん限りの悲鳴と言うか叫びが格納庫全体に響き渡った。
ヒトダマ「ラ、ラ、ランダムさぁん リ、リ、リキッドに何が」
ランダム「何って、大丈夫さ。リキッドは伍長の好みじゃないし。」
ヒトダマ「こ、こ、好みって… 好みだったらどうなるんですかぁ?」
ランダム「好みだったら…」
フッと遠い目になったランダムはヒトダマを残し、現実逃避 つまりNATを捕まえる事に専念した。
  
伍長「おーい、ヒトダマ」
ヒトダマが飽きてきた頃 伍長に呼ばれ制御室に急いだ。中を覗くと、隅に真っ白な灰状態になったりキッドが縛られ泣いている脇で伍長は煙草を吸いウイスキーを飲んでいた。
ヒトダマ「こ、こ、これは何があったんですか…」
からからと笑った伍長は話をはぐらかした。
伍長「もう悪さはしねぇから大丈夫だ。さあ行くか」
ヒトダマ「あのお、度々御免なさい。ランダムさんに伍長さんの好みを尋ねたら現実逃避を始めちゃって」
リキッドを担ぎあげる。
伍長「ランダムなら大丈夫だ。戻ってNATにも灸を据えてやらんとな。」
ヒトダマ「え?」
伍長「大丈夫だ NATも俺の好みじゃない」
ヒトダマは「じゃあ、誰が好みなんですか?」と怖くて聞けなかった。
  
ちょうどその頃、ランダムも暴れるNATと共に現実世界へと戻ってきたのだった。
  
次回「THE GREAT ESCAPE、そして帰還」お楽しみに
(ごめん、CIさん 終わらなかった…

言い訳は帰ってからにします
  
ある意味「終わっている」とも思うんだが
  
「THE GREAT ESCAPE、そして帰還」
  
(Aパート)
どっごーん!!!!
突然、ヒトダマの後ろから轟音が響いた。
ヒトダマ「ほっ、ほにゃあぁぁぁっ?!」
腰を抜かさんばかりの勢いで振り返るヒトダマと、「派手にやってるな〜」とさして重大そうな顔をせず爆音の方を見る伍長。
二人が見たその先―――そこにあったのは、コクピットからもうもうと黒煙を上げるRAYの姿が。
ヒトダマ「にゃっ、なっ、NATさぁん、ランダムさぁん!!」
慌ててRAYの頭部に向かうヒトダマ。
・・・と。
「・・・げほ、ごほっ・・・」
煙の中から、にゅっと煤にまみれた腕が伸び、力なく煙の中に消えていく。
ヒトダマ「・・・・っ!ランダムさぁん!!」
ほんの一瞬しか見えなかったが、あの腕はNATにしてはごつすぎる。
漸く、爆発を感知したスプリンクラーが作動する。
散布される霧のような水が、黒煙を少しずつ払っていく。
ランダム「・・・ごほごほっ・・・」
煙の中から、ゆらりとランダムが立ち上がったのが見て取れた。
爆発の威力はどれほどのものだったかはわからない。
だが、ボサボサに逆立った髪に煤だらけ、ぼろぼろに破れた服を見ると少なくとも「爆発コントのオチ」ぐらいの威力はあったらしい。
「少なくとも」、というのは一応バイオロイドのランダムがこのような状態になっているからであって、これが生身の人間だったら・・・
ヒトダマ「ランダムさぁん、NATさんは?!」
ランダムが無事なのはわかった。だが、先にコクピットに潜り込んでいたNATはいまだに出てくる気配がない。
まさか・・・
自他共に認める「体力ナシ」のNAT、まさかこんなところで初の犠牲者が?!とヒトダマが青ざめたその時。
NAT「あー・・・死ぬかと思った〜」
のんびりとしたNATの声は、ヒトダマが予想だにしなかった場所から響いてきた。
ヒトダマ「なっ、NATさぁん?!」
ご無事だったんですかぁ、と声のする方を見るが、そこにNATの姿はない。
ヒトダマ「どこにいらっしゃるんですかぁ?」
NAT「ん〜こっちこっち」
そう言われ、改めてヒトダマが声のするほうを見ると・・・
ヒトダマ「!!ほにゃあぁぁぁっ!!」
ヒトダマが驚いたのも無理はない。
なんとNATは天井の梁にぶら〜んとさかさまにぶら下がっていたのだ。
NAT「えへへ〜☆」
相変わらずのんきな口調で呟き、NATがヒトダマを見る。
NAT「ねーねーヒトダマー、そこにロープ、ない?」
さかさまのまま、ヒトダマにたずねるNAT。
ヒトダマ「確かランダムさんがさっき見つけてきて・・・なぜですかぁ?」
その問いかけに、NATはえへへと軽く笑って頭をかいた。
・・・自力では降りられないらしい。
  
ヒトダマが持ってきたロープを体にくくりつけ、ミラー伍長とランダムに手伝ってもらって漸く床に生還したNAT。
だが、ロープを解く間もなく、ぐわしぃっと頭を掴まれる。
伍長「何勝手さらしてんじゃボケがぁっ!」
ごぃ〜ん
NAT「・・・はうっ」
頭を離されると同時に脳天に怒りの鉄拳を落とされ(まがいなりにも女なので手加減してもらえたらしい)、NATが目を回す。
ヒトダマ「伍長さん伍長さぁん・・・NATさんもまだ何もわかってないですからぁ、そんなに怒らないでくださぁぃ・・・」
目を回したNATの介抱をしつつ、ヒトダマが二人の間に割って入る。
伍長「だぁったら俺が人間の世界の常識ってもんを叩き込んでやる!」
ランダム「まぁ、待ってください伍長。確かにこいつは常識を知らないですけど、今回はこいつ(ヒトダマ)をなんとかしたい、というところからの行動ですからね。もうちょっと寛大に・・・」
珍しく、NATをかばうランダム。
だが、伍長は
伍長「知るかそんなもん」
ランダムの話を一言で一蹴してしまう。
ランダム「しかし色々あったみたいですから・・・とりあえず話だけでも聞いて、それからにしたほうが・・・」
伍長「・・・」
ものすご〜く恐ろしい顔で、伍長が漸くおめめくるくるから戻ってきたNATをにらみつけた。
NAT「はう〜・・・」
まだぐわんぐわんするのか、頭を振りながらNATが伍長を見る。
NAT「何もいきなり殴らなくても〜」
ヒトダマ(NATさぁん、伍長さんには反抗しないほうがいいですよぉ)
こっそりと耳打ちするヒトダマ。
NAT「わ、わかってるけど・・・」
伍長「何をごちゃごちゃ言ってる?」
とんでもない形相でにらまれ、とっさにぶんぶんと首を振るNAT+ヒトダマ。
伍長「とにかくここに座れや。RAYにつながっていた間、何があったか全部教えろや」
NAT「うひぃ・・・(汗)」
さすがのNATも、伍長には負けるらしい。
恐る恐るヒトダマ、次にランダム、と見てから伍長に視線を投げた。
  
(Aパート終了)
  
・・・んな無茶な、ってことを書いてます・・・はうっ。

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